紫の染め紙に金泥(きんでい)で文字を書く。金色の文字が燦然(さんぜん)と輝き、紫紙に映(は)える本品は、名品の多い奈良時代の写経の中でも、ひときわ目を引くものである。そして、この特別な写経が作られた目的は、聖武天皇が建立(こんりゅう)を進めた諸国国分寺(こくぶんじ)の七重塔に納めるため、であった。よって、この紫紙金字『金光明最勝王経』は、当時の国の数だけ作られたと推定され、正倉院に伝わる古文書によると、天平18年(746)に写経が概ね完成したときには71セットあった(1セットは10巻)。それから1250年以上を経た現代に残っているのは、2セットと、端本が数巻である。
さて、本品は、経文(きょうもん)の書かれた本紙(ほんし)が良い状態で残るだけでなく、表紙(ひょうし)も製作当初のままであり、外題(げだい)の金字も美しい。そのため展示会場では巻頭(かんとう)付近にお目にかかることが多いが、今回はあえて巻末(かんまつ)付近を図版に掲げた。金字の美しさは、巻頭でも巻末でも異なることはない。ただ残念ながら、巻末の軸(じく)は後世に補われたもので、本紙の左端も少し切り落とされている。今は残らない軸だが、国分寺の七重塔に納められた当時、軸の上下の端はガラスや瑪瑙(めのう)、水晶(すいしょう)などの材で飾られていたことが、正倉院の古文書から知られる。その姿を想像してみると、この写経がいかに荘厳(しょうごん)の尽くされたもので、特別な品であったかということに、改めて気付かされるのである。
(野尻忠)
奈良国立博物館だより第115号. 奈良国立博物館, 2020.10, p.8.
国宝 こんこうみょうさいしょうおうきょう (こくぶんじきょう) 金光明最勝王経 巻第二(国分寺経)
1巻
紙本 麻紙 紫紙金字 金界(幅1.9) 巻子装 軸:鍍金切軸(後補)
縦26.0 長804.3 18紙(原表紙共 一紙:幅50.4 26行)
書跡
奈良時代 8世紀
- H046366
- H046364
- 2018/11/12
- 表紙
- H046365
- 2018/11/12
- 見返~巻首、第1紙(全巻1/17)
- H046366
- 2018/11/12
- 巻首、第1紙(全巻2/17)
- H046367
- 2018/11/12
- 巻中、第2紙(全巻3/17)
- H046368
- 2018/11/12
- 巻中、第3紙(全巻4/17)
- H046369
- 2018/11/12
- 巻中、第4紙(全巻5/17)
- H046370
- 2018/11/12
- 巻中、第5紙(全巻6/17)
- H046371
- 2018/11/12
- 巻中、第6紙(全巻7/17)
- H046372
- 2018/11/12
- 巻中、第7紙(全巻8/17)
- H046373
- 2018/11/12
- 巻中、第8紙(全巻9/17)
- H046374
- 2018/11/12
- 巻中、第9紙(全巻10/17)
- H046375
- 2018/11/12
- 巻中、第10紙(全巻11/17)
- H046376
- 2018/11/12
- 巻中、第11紙(全巻12/17)
- H046377
- 2018/11/12
- 巻中、第12紙(全巻13/17)
- H046378
- 2018/11/12
- 巻中、第13紙(全巻14/17)
- H046379
- 2018/11/12
- 巻中、第14紙(全巻15/17)
- H046380
- 2018/11/12
- 巻中、第15紙(全巻16/17)
- H046381
- 2018/11/12
- 巻末~奥書、第16~17紙(軸まで写る)(全巻17/17)
- D052360
- 2008/06/25
- 巻中1
- D052362
- 2008/06/25
- 巻中2
- D026283
- 2000/12/12
- 巻首
- D026284
- 2000/12/12
- 巻末
- A030719
- 2008/06/25
- 巻中1
- A030721
- 2008/06/25
- 巻中2
- A026473
- 2000/12/12
- 巻首
- A026474
- 2000/12/12
- 巻末
- A025141
- 1997/05/02
- 文字アップ
- A021627
- 1990/01/08
- 巻首
- A021628
- 1990/01/08
- 巻末近く(偈,音義等)
- A021629
- 巻首
もっと見る
| 収蔵品番号 | 759-2 |
|---|---|
| 部 門 | 書跡 |
| 区 分 | 書跡 |
| 部門番号 | 書25 |
| 伝 来 | 西国寺(広島)旧蔵 |
| 指定名称 | 紫紙金字金光明最勝王経 |
| 指定番号 | 書109 |
| 指定年月日 | 昭和27年3月29日 国宝、明治43年4月20日 重文 |
| 文 献 | 奈良国立博物館だより第115号. 奈良国立博物館, 2020.10, 8p.奈良国立博物館蔵品図版目録 書跡篇. 奈良国立博物館, 1990, 136p. |
関連する文化財
| 収蔵品番号 | 画像 | 名称 |
|---|---|---|
| 759-0 |
|
金光明最勝王経 巻第一~十(国分寺経) |
| 759-1 |
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金光明最勝王経 巻第一(国分寺経) |
| 759-3 |
|
金光明最勝王経 巻第三(国分寺経) |
| 759-4 |
|
金光明最勝王経 巻第四(国分寺経) |
| 759-5 |
|
金光明最勝王経 巻第五(国分寺経) |
| 759-6 |
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金光明最勝王経 巻第六(国分寺経) |
| 759-7 |
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金光明最勝王経 巻第七(国分寺経) |
| 759-8 |
|
金光明最勝王経 巻第八(国分寺経) |
| 759-9 |
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金光明最勝王経 巻第九(国分寺経) |
| 759-10 |
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金光明最勝王経 巻第十(国分寺経) |
| 収蔵品番号 | 759-0 |
|---|---|
| 画 像 |
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| 名 称 | 金光明最勝王経 巻第一~十(国分寺経) |
| 収蔵品番号 | 759-1 |
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| 画 像 |
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| 名 称 | 金光明最勝王経 巻第一(国分寺経) |
| 収蔵品番号 | 759-3 |
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| 名 称 | 金光明最勝王経 巻第三(国分寺経) |
| 収蔵品番号 | 759-4 |
|---|---|
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| 名 称 | 金光明最勝王経 巻第四(国分寺経) |
| 収蔵品番号 | 759-5 |
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| 画 像 |
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| 名 称 | 金光明最勝王経 巻第五(国分寺経) |
| 収蔵品番号 | 759-6 |
|---|---|
| 画 像 |
|
| 名 称 | 金光明最勝王経 巻第六(国分寺経) |
| 収蔵品番号 | 759-7 |
|---|---|
| 画 像 |
|
| 名 称 | 金光明最勝王経 巻第七(国分寺経) |
| 収蔵品番号 | 759-8 |
|---|---|
| 画 像 |
|
| 名 称 | 金光明最勝王経 巻第八(国分寺経) |
| 収蔵品番号 | 759-9 |
|---|---|
| 画 像 |
|
| 名 称 | 金光明最勝王経 巻第九(国分寺経) |
| 収蔵品番号 | 759-10 |
|---|---|
| 画 像 |
|
| 名 称 | 金光明最勝王経 巻第十(国分寺経) |

