主に『金光明最勝王経(こんこうみょうさいしょうおうきょう)』という経典に基づく諸尊の構成をとる絵画で、興福寺における祈雨の法要の為に描かれた。上方の墨書は、興福寺(こうふくじ)の有力な塔頭(たっちゅう)であった大乗院(だいじょういん)の僧、経覚(きょうかく)(一三九五〜一四七三)によるもので、中央は三社託宣(さんしゃたくせん)(天照大神(あまてらすおおみかみ)、八幡神(はちまんしん)、春日明神(かすがみょうじん)の三社の神号と託宣)、左右には伝来の経緯が記されている。それによれば本図は、文安元年(一四四四)の祈雨法要に用いられたのち、経覚と懇意であった立野信俊の所望に応え、経覚自ら三社託宣を揮毫(きごう)し譲ったという。遺例の少ない最勝曼荼羅の作例として、また経覚周辺の動向を知らせる一次資料として、さらに南北朝時代頃に南都で成立したと考えられている三社託宣の、経覚自筆の年記をもつ例として貴重な作品。近代には川崎家所蔵であった。
(北澤菜月)
奈良博三昧―至高の仏教美術コレクション―. 奈良国立博物館. 2021.7, p.272, no.185.
さいしょうまんだら 最勝曼荼羅
1幅
絹本著色 掛幅装
縦335.0 横202.8(総縦383.7 総横218.8)
絵画
室町時代 15世紀
文安元年 1444年
- H022883
- H022883
- 2013/07/11
- 全図
- H022884
- 2013/07/11
- 画面上部1/4部分
- H022885
- 2013/07/11
- 画面上~中部1/4部分
- H022886
- 2013/07/11
- 画面中~下部1/4部分
- H022887
- 2013/07/11
- 画面下部1/4部分
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| 収蔵品番号 | 1500-0 |
|---|---|
| 部 門 | 絵画 |
| 区 分 | 絵画 |
| 部門番号 | 絵281 |
| 銘 文 | [上方向かって右]□(此カ)本□(尊)者、依祈雨立願、文安/元年七月廿八日、於興福寺/□(一カ)日畫供養畢、七僧〔寺〕百僧/導師権別当権僧正貞兼/呪願権大僧都専慶 [同左]立野豊前守平信俊、頻令/所望之間、仰別会五師訓営/乞請学侶之処、無相違也/許可之間、同八月六日遣/信俊方了、然申詫〔託〕宣事/懇望之間、同書遣了、/文安元年八月六日/苾蒭一叟(花押) [中央]八幡大菩薩/銅焔雖為食不/受心穢人之物/銅焔雖為座不/□(至カ)心汚人之処/天照皇太神宮/謀計者雖為眼前之/利潤必当神明者罰/正直者雖非一旦之/依怙終蒙日月之憐/春日大明神/雖曳千日注連/不至邪見之家/雖為重服深厚/必至慈心之室 |
| 文 献 | 奈良博三昧―至高の仏教美術コレクション―. 奈良国立博物館, 2021.7, 354p. |

