顎鬚(あごひげ)のある男神と、垂髪の女神で対となる。体部に衣文を刻まない表現など、平安時代の神像彫刻に一般的な表現である。両像とも正面を向かず、動きのある姿勢をとり、表情にも生動感がある。
音声ガイド
顎鬚(あごひげ)が長く眼を見開いた老相の男神と、垂髪(すいはつ)の壮年相の女神で対をなす。膝を含む体部の大部分をヒノキらしき針葉樹一材から彫成する構造や、体部に衣褶(いしゅう)を刻まない表現は、神像彫刻によくみられる。両像とも正面を向かず、動きのある姿勢をとり、表情にも生動感がある。神像彫刻では、こうした実人的な表現は鎌倉時代に入るとより顕著になるが、本像の簡潔な表現は、平安時代の神像彫刻の伝統に沿ったものとみられる。
(岩井共二)
なら仏像館名品図録. 奈良国立博物館, 2022, p.139, no.183.
一対の男女神像で、ともに針葉樹(ヒノキか)の一木造(いちぼくづくり)。女神像は丸彫(まるぼり)に近いが、男神像は袖先を別材製とする(亡失)。女神は和装の姿、左手は袖の中に入れ、右手で垂髪(すいほつ)をまさぐるかのようなポーズを見せる。福々しい頰が印象的。男神像は袍(ほう)を着し、笏(しゃく)(亡失)を握る官人の姿で、風貌は壮年のそれである。奈良時代に出現した神像は平安時代に定着したが、多くが正面向きに威儀を正す様に表されるのに対し、この二像は顔を横に向ける動きのある個性的な姿を示す。
(岩田茂樹)
なら仏像館名品図録. 奈良国立博物館, 2010, p.113, no.147.

