主に平安時代後期の法会、特に密教の法会に用いられた表白(ひょうびゃく)を集めたもの。表白とは法会の始めに、その趣旨を仏前で読み上げるもので、法会の目的や当時の世界観を知ることができる。巻分けは仏陀、講肆、諸表白、表白等の五巻で、約二百の表白類を収める。最も古いものは康和元年(一〇九九)六月二十一日の法勝寺(ほっしょうじ)における普賢延命御修法(ふげんえんめいみしほ)表白で、下限は仁平二年(一一五二)の胎蔵行法(たいぞうぎょうほう)表白などである。後七日御修法(ごしちにちのみしほ)など、東寺関係のものが多いことから、十二世紀後半に東寺周辺で編纂されたものであろう。本品は鎌倉時代の写本で、高山寺(こうさんじ)に伝来した。
(斎木涼子)
奈良博三昧―至高の仏教美術コレクション―. 奈良国立博物館. 2021.7, pp.255-256, no.81.
平安時代後期の仏会、特に密教系の法会に用いられた表白類を類聚したもの。巻分けは、仏陀、灌頂歎徳、講肆、諸表白、表白等の5巻になっている。
収められた約200の表白類のうち、年代の最も遡るのは康和元年(1099)6月21日に法勝寺でおこなわれた普賢延命御修法表白で、下限は仁平2年(1152)の問講表白と胎蔵行法表白である。東寺の法会に関する表白類が多いことから、おそらくは平安時代後期に東寺の周辺で編録されたものと考えられている。灌頂歎徳や諸表白の巻には教化も含まれており、初期歌謡を考える上で注目される。
奥書はなく、各巻ともに別筆であるが、書風からみて鎌倉時代中期の写本と思われ、それぞれの巻首に捺された「方便智院」の朱方印によって、高山寺に伝来していたことが知られる。
(西山厚)
奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, p.307, no.134.

