羯磨(かつま)は二本の三鈷杵(さんこしょ)を十字に組んだ形の法具で、密教修法(みっきょうしゅほう)の際、大壇(だいだん)の四隅に羯磨皿(かつまざら)に載せて安置される。本品は中央の鬼目(きもく)の周囲に八葉の菊花弁を表した珍しい遺例で、均整のとれた穏やかな作風。
題箋
中央の鬼目部の周囲に、八葉の菊花弁を大きく表現した珍しい遺品である。請来法具を継承する東寺羯磨の大陸的で雄勁な形姿に比べ、簡素で穏やかな作風がより主張されている。法具としての気魄にやや欠ける憾みはあるが、造形的には、均整のとれた美作である。鬼目部を厚く作り、鈷部を細く薄手に仕上げているのが特徴であり、黄色味の強い鍍金が鮮やかに残っている。
(関根俊一)
密教工芸 神秘のかたち, 1992, p.231

