慈円(1155~1225)は鎌倉時代初期の天台宗の僧で、天台座主に四度も任命されるなど、当時を代表する僧のひとりである。父は関白藤原忠通。九条兼実は兄にあたる。独自の歴史観から『愚管抄』を著したことでも知られるが、歌人としても名高く、『新古今集』など歴代の勅撰集に多くの歌が収められ、家集『拾玉集』も残されている。
この懐紙は、報恩会のあとの和歌会で詠んだ和歌2首を記したもの。報恩会は毎年12月に比叡山でおこなわれる舎利供養の法会で、後宴に和歌会を催し、『法華経』と冬季をテーマに2首の和歌を詠み進めることが恒例になっていた。この懐紙の和歌は、『法華経』の寿量品と、雪中懐旧がテーマになっている。速筆ながら筆力があり、高雅な趣をもっている。もとは桂宮家に伝来した。
(西山厚)
奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, p.309, no.142.

- H049974
- 2019/09/19
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- D050591
- 2008/01/18
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- 全文

- A030383
- 2008/01/18
- 全文

- A022038
- 1990/01/12
- 全文

- A022042
- 1990/01/12
- 慈円の草名前後

- A022040
- 全文

- A022041
- 全文
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収蔵品番号 | 655-0 |
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部 門 | 書跡 |
区 分 | 書跡 |
部門番号 | 書20 |
伝 来 | 保阪潤治旧蔵 |
銘 文 | 釈文「冬日報恩会聴講法華/経詠寿量品和歌/桑門(草名)/かすもしらぬ いのちなからの/はしはしら とるともつきし/わしのみやまに/雪中懐舊/なきたまの かけもやとらむ/ふる雪の あとうちはらふ/法のむしろに」 |
指定名称 | 慈円僧正懐紙 一幅 |
指定番号 | 書344 |
指定年月日 | 昭和10年4月30日 |
文 献 | 奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, 350p.奈良国立博物館蔵品図版目録 書跡篇. 奈良国立博物館, 1990, 136p. |