臨済宗大徳寺派の禅僧・一休宗純(いっきゅうそうじゅん)(一三九四〜一四八一)の現存最古の頂相(ちんそう)(肖像画)。文安四年(一四四七)の五十四歳時に一休が弟子の音菴主(おんあんしゅ)の求めに応じて着賛している。図は、右手に竹篦(しっぺい)(禅宗で師が弟子の指導に用いる竹製の杖)を持ち、曲彔(きょくろく)(椅子)に左足を踏み下げて坐る一休を描く。傍らの長大な朱塗鞘(しゅぬりざや)の太刀(たち)は、一休が四十二歳の時、堺の街を木剣の鞘をたたきながら歩き回り、見せかけだけの偽坊主を批判したという逸話に由来するもの。本図と同図様の作例が数点知られており、破格の禅風で知られた一休の人となりを象徴している。
(谷口耕生)
奈良博三昧―至高の仏教美術コレクション―. 奈良国立博物館. 2021.7, p.274, no.199.
曲彔(きょくろく)に半跏に坐し、傍らに大きな朱塗の刀を立て掛けた図で、竹篦(しっぺい)を握って構えた一休和尚の表情にはどこか飄逸さが漂っている。大きな朱太刀も実は見せかけだけの竹光(たけみつ)であり、腐敗した武士への批判精神を表している。一休和尚の風貌は色白で面長な顔、一言ありそうな口元などの表情が若々しく描かれている。図上の賛は文安4年(1447)54歳であった一休の自賛で、一休着賛像では最も早い作例である。この像は成文音庵主のために描かれたもので、筆者は一休と親しかった墨渓(桃林安栄)と考えられている。






