玳瑁(たいまい)(鼈甲(べっこう))の黒い部分を使用して作った簪(かんざし)。頭部は各辺をやや内に反らせた五角形で、長い差し脚を二本作り出す。表は銀線で五角形を表した中に、緑色に染めた鹿角(ろっかく)と赤く染めた鹿角(または象牙)を添わせ、内部に金線で花を、銀線で萼(がく)や茎、葉、葉脈を象った草花文を配置している。裏は銀線を象嵌して五角形を二重に表し、向かって左の付け根に「省古作」との刻銘を記している。側面にはヤコウガイを小円形に切ったものを規則的に象嵌しており、細部に至るまで入念な細工(さいく)が施されている。省古は恐らく、正倉院宝物の修理等を通じて玳瑁にも親しんだのであり、大正二年(一九一三)作の木通象嵌櫛(あけびぞうがんくし)(個人蔵)のような作品も本品より先に制作している。染めた鹿角の使用は正倉院宝物にも縷々(るる)みられるもので、正倉院宝物に学び、これを喚骨奪胎(かんこつだったい)した省古の技が冴(さ)え渡る、典雅な趣の小品である。
(清水健)
名匠三代―木内喜八・半古省古の木工芸―, 2015, p.44
かもんぞうがんかんざし きうちしょうこさく(きうちけさんだいしりょうのうち) 花文象嵌簪 木内省古作(木内家三代資料のうち)
1枚
玳瑁製 象嵌
全長12.0 最大幅6.6
工芸
昭和 20世紀
昭和5年 1930年
- H029556
- H029556
- 2015/02/17
- 全体(草花文面)(表面)
- H029557
- 2015/02/17
- 全体(刻銘面)(裏面)
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| 収蔵品番号 | 1486-0 |
|---|---|
| 部 門 | 工芸 |
| 区 分 | 工芸 |
| 部門番号 | 工363 |
| 銘 文 | 脚部銀象嵌銘「省古作」、箱蓋表墨書「金銀/玳瑇装 束髪差」、箱蓋裏墨書「昭和庚午冬日/省古作」 |
| 文 献 | 名匠三代木内喜八・半古・省古の木工芸. 奈良国立博物館, 2015.6, 64p. |

