淡紅色に染めた象牙を銀製の受け台に嵌(は)めた帯留(おぼどめ)。赤や青に染めた象牙の表面を彫って内部の白(象牙色)との対比で文様(もんよう)を表出する撥鏤(ばちる)の技法で、表面に草花文を表している。草花文は正倉院裂(しょうそういんぎれ)や正倉院宝物の献物箱(けんもつばこ)に描かれた文様を想起させるもので、小さな径の中にまとまりよく収められている。作者は不明であるが、花の部分は線的に彫り、葉や茎の部分は面的に彫るなど、巧みな撥鏤技法が用いられていることから、昭和二十七年(一九五二)に「助成の措置を講ずべき無形文化財」に「木画及び撥鏤」の技術で選定されている省古の可能性が浮かぶ。なお、現在は漆紅色を示しており、褪色(たいしょく)した可能性があるものの、使用された染料等は不明である。長らく途絶えていたという撥鏤技法は、近代に至って多くの作家が復元に挑戦しているが、正倉院宝物に直(じか)に接することで学んだ省古の姿が、大らかな文様ともどもうかがわれるよう佳品である。
(清水健)
名匠三代―木内喜八・半古省古の木工芸―, 2015, p.44
ばちるそうかもんおびどめ(きうちけさんだいしりょうのうち) 撥鏤草花文帯留(木内家三代資料のうち)
1箇
象牙製 染色 撥鏤 銀製
径3.0
工芸
明治時代~昭和 19~20世紀
- H029555
- H029555
- 2015/02/18
- 全体(草花文面)(表面)
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| 収蔵品番号 | 1485-0 |
|---|---|
| 部 門 | 工芸 |
| 区 分 | 工芸 |
| 部門番号 | 工362 |
| 寄 贈 | 岡井一子氏寄贈 |
| 文 献 | 名匠三代木内喜八・半古・省古の木工芸. 奈良国立博物館, 2015.6, 64p. |

