シタン材の一枚板に、木画(もくが)と螺鈿(らでん)で文様(もんよう)を試作した手板(ていた)。長方形の一枚板に、L字形に幾何学文木画(きかがくもんもくが)の文様帯、花文木画の文様帯、幾何学文木画の文様帯を外から順に配し、内区には大きく一輪の六弁花を中心とする花唐草(はなからくさ)と一頭の蝶を切り出した貝片を象嵌(ぞうがん)して表す。幾何学文木画の文様帯は、内側は甃文(いしだたみもん)に斜行文(しゃこうもん)を添わせた文様で、外側は長辺に矢筈文(やはずもん)を甃文で挟んだ文様、短辺は甃文と斜行文、矢筈文、直行文(ちょっこうもん)を組み合わせた文様としている。いずれも象牙界を適宜用いている。幾何学文木画の文様帯の間の花文木画は、小四弁花を配置している。木画は象牙、緑色に染めた鹿角(ろっかく)、コクタン、ツゲ、カリン、銀などを組み合わせて構成しており、螺鈿はヤコウガイを使用している。
いずれも正倉院宝物を範として木画の試作を行ったものと考えられ、一致するものは見出せないが、類似するものとして桑木木画基局(くわのきもくがのききょく)(中倉一七四)、沈香木画箱(じんこうもくがのはこ)(第一〇号・中倉一四二)、沈香木画箱(第一二号・中倉一四二)の幾何学文木画が挙げられる。花文木画に類似のものは正倉院宝物中に例を見ないが、彩色(さいしき)の小花文を翻案(ほんあん)して木画で表したかと思われる。大振りの貝片を用いた花牒の文様は、正倉院宝物とはやや雰囲気を異にし、平安風を感じさせる。
内側の斜行文木画は蒲鉾形(かまぼこがた)に盛り上げており、こうした表現はケース越しに目視するだけでは判じがたく、宝物を実見して得た知見を生かしていると考えられる。作者には正倉院御物整理掛(しょうそういんぎょぶつせいりがかり)に出仕した半古あるいは省古が充てられよう。
(清水健)
名匠三代―木内喜八・半古省古の木工芸―, 2015, p.45-46
もくがていた(きうちけさんだいしりょうのうち) 木画手板(木内家三代資料のうち)
1枚
木製 木画 螺鈿
縦12.0 横18.2 厚1.86
工芸
明治時代~昭和 20世紀
- H029528
- H029528
- 2015/02/17
- 全体(表面)
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| 収蔵品番号 | 1478-0 |
|---|---|
| 部 門 | 工芸 |
| 区 分 | 工芸 |
| 部門番号 | 工355 |
| 寄 贈 | 岡井一子氏寄贈 |
| 文 献 | 名匠三代木内喜八・半古・省古の木工芸. 奈良国立博物館, 2015.6, 64p. |

