銅板を型に当て、鎚(つち)で打ち出して尊像を浮彫する押出仏(おしだしぶつ)。禅定印(ぜんじょういん)の倚坐像(いざぞう)で両脇に樹木をあらわし、上方に化仏(けぶつ)二体をあらわす。本像のように右肩を完全に露出させる偏袒右肩(へんたんうけん)の服制で禅定印を示す倚像は、七世紀半ばに唐からもたらされた図様にもとづくもので、川原寺裏山遺跡(かわらでらうらやまいせき)出土三尊塼仏(せんぶつ)をはじめ、飛鳥時代後期(白鳳期)の押出仏や塼仏中に見出される。本品は川原寺出土の塼仏に比べ、全体に丸みが強くなり輪郭もやわらかいものになるため、やや時代がくだる可能性もある。同じ型を用いた押出仏が数点存在する。
(岩井共二)
なら仏像館名品図録. 奈良国立博物館, 2022, p.148, no.200.
銅板に型にあて、鎚で打ち出して尊像を浮彫する押出仏(おしだしぶつ)。飛鳥時代後期(白鳳期)の押出仏に多く見られる図様だが、本品はやや時代が下ると考えられる。同じ型を用いた押出仏が数点存在する。
音声ガイド
長方形の薄手の銅板に型をあて、尊像を打ち出した押出仏(おしだしぶつ)。主尊は七世紀半ば以降の塼仏(せんぶつ)等にしばしばみられる禅定印(ぜんじょういん)の如来倚像で、右肩を完全に露出し、左右に樹木を表す。唐からの請来品に基づく図像とみられ、川原寺裏山出土塼仏や法隆寺所蔵の仏像型に近い形式をもつが、体軀、特に脚部の量感表現が顕著である点、光背が素文である点などに、それらとは異なった特徴が示される。上部の小坐仏は主尊とは異なる型を二度用い、同形同大の二体を打ち出す。主尊・小坐仏とも、本品と同じ型を用いた作品が数例存在する。
(稲本泰生)
なら仏像館名品図録. 奈良国立博物館, 2012, 168p.

