輪羯台は大壇(だいだん)において輪宝(りんぽう)と羯磨(かつま)を載せる五枚一組の台皿で、しばしば蓮華(れんげ)をかたどって表される。本品は八葉(はちよう)蓮華形を呈し、低い高台(こうだい)を備えた品で、奈良・室生寺(むろうじ)や奈良・西大寺に同時代の類例が存する。
題箋
輪羯台(りんかつだい)は大壇上において輪宝(りんぼう)や羯磨(かつま)をのせる五枚一組の皿。本品は低い円筒形の高台に蓮華形の皿をのせている。皿上面は八葉間弁付きの蓮華をかたどり、弁の内側に輪郭を刻んでいる。弁の輪郭はかなり鋭角的に突起し、先端に縦に一本刻線を入れている。中央部の蓮肉は皿状に縁を立ち上がらせ、周囲にしべを放射状に整然と刻み、しべの先端に魚々子(ななこ)タガネを打って連珠文をめぐらしている。皿の下面は一枚ずつ弁の形を表すだけで、細部は省略している。八葉間弁付きの蓮華をかたどった輪羯台は鎌倉時代に作例があり、中でも鎌倉時代後期(14世紀)の奈良・室生寺や同・西大寺所蔵の輪羯台は蓮弁やしべの形状が本品とよく似ており、本品の製作年代を考える上で参考となる。
(内藤栄)
古玩逍遥 服部和彦氏寄贈 仏教工芸. 奈良国立博物館, 2007, p.56, no.35.

