右手が湾曲して頭に触れている。大きめの肉髻と大ぶりの目鼻立ちや、肩幅が広く肉身の抑揚をあまりつくらない点は、朝鮮半島・三国時代の金銅仏を思わせる。素朴な小像ながら存在感を持つ。
音声ガイド
左手を下げ、右手を上げる誕生仏だが、右手が湾曲して頭に触れている。頭頂から足下の蓮肉まで一回の鋳込(いこ)みで造り、下方の台座に枘(ほぞ)揷しとしていた(現在の台座は後補)。後頭部に枘をつくり出していたようだが、現在は削り取られている。大きめの肉髻(にっけい)と大ぶりの目鼻立ちや、肩幅が広く肉身の抑揚をあまりつくらない点は、朝鮮半島・三国時代の金銅仏を思わせる。手足の指は丁寧につくり出され、素朴な小像ながら存在感を持った像である。
(岩井共二)
なら仏像館名品図録. 奈良国立博物館, 2022, p.146, no.197.
釈迦は誕生してすぐに七歩歩き天と地を指して「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と言ったという。その姿を表したのが誕生仏(たんじょうぶつ)で、毎年四月八日におこなわれる灌仏会(かんぶつえ)では、これに甘茶をかける。その多くは銅造で、優品は飛鳥時代に多い。大きめの肉髻(にっけい)に大ぶりな目鼻立ちの可愛らしい顔立ちや、肩幅が広く、体部に肉体の抑揚(よくよう)をつくらない点は、朝鮮半島・三国時代の金銅仏に通じる。手足の指も丁寧に造り出され、素朴な小像ながら存在感を放つ。
(岩井共二)
奈良博三昧―至高の仏教美術コレクション―. 奈良国立博物館. 2021.7, p.243, no.4.

