明月記は歌人として名高い藤原(ふじわらの)定家(さだいえ)(一一六二~一二四一)が生涯にわたって記した日記。本断簡は建仁(けんにん)元年四月二十二日条の一部で、詩船・管絃(かんげん)船・歌船が出て行われた華やかな遊宴の様子が記される。
題箋
『明月記』は、歌人として著名な藤原定家(一一六二~一二四一)が生涯にわたって記した日記。冷泉家(れいぜいけ)時雨亭(しぐれてい)文庫(京都市)に定家自筆原本がまとまって残っており、記事の詳細さと特徴ある筆跡とで知られる。巷間(こうかん)に流出している断簡も多くあり、本品はその一つで、建仁元年(一二〇一)四月二十二日条の一部。そこに記された内容は、この日に、平安京南郊にあった鳥羽殿(鳥羽離宮)で、池に詩船・管弦船・歌船の三隻の船を浮かべ、後鳥羽上皇や貴族らが列席しておこなわれた華やかな遊宴の様子である。定家は、船に乗った船頭や楽人の服装のこと、列席した人々の動きなどについて、非常に詳しく記録している。
(野尻忠)
SHIBUYAで仏教美術ー奈良国立博物館コレクションより. 渋谷区立松濤美術館, 2022.4, p.113, no.60.

