大乗寺(兵庫県香美町)に伝来した五山版(ござんばん)の大般若経。もと六百巻が揃っていたとされ、僚巻が確認される。巻末墨書から、永徳三年(一三八三)以前に刷られたことがわかる。巻首には扉絵が付けられ、銀泥による界線とともに贅沢な装いの版経である。扉絵は釈迦三尊、般若経とその誦持者を守護する十六善神(じゅうろくぜんしん)、功徳天(くどくてん)・婆薮仙(ばすうせん)、そして玄奘と深沙(じんじゃ)大将を加えた版画である。玄奘と向かい合う深沙大将は、後の沙悟浄(さごじょう)のモデルとされる尊格で、砂漠を進む玄奘の前に現れ、前世で天竺に向かう途中で死んだ玄奘のエピソードにも関係する(『覚禅鈔』、『宋版大唐三蔵取経詩話』)。釈迦十六善神図を付した大般若経の遺例で、鎌倉時代十三世紀後半より前に刷られた事が確実なものは確認出来ない。その起源は宋版扉絵の復刻、もしくは日本で独自に開版した可能性が考えられている。
(斎木涼子)
天竺へ―三蔵法師3万キロの旅―, 2011, p.227
はんぽんだいはんにゃきょう かんだい365 版本大般若経 巻第三百六十五
1帖
紙本 摺写 銀界 折本
縦26.1 横9.4 長900.3
書跡
南北朝時代 13世紀

- H009606

- H009606
- 2011/04/25
- 見返、巻首

- H009608
- 2011/04/25
- 巻末

- A215049
- 1996/01/31
- 見返、巻首

- A215051
- 1996/01/31
- 巻末
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収蔵品番号 | 1202-0 |
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部 門 | 書跡 |
区 分 | 書跡 |
部門番号 | 書101 |
伝 来 | 大乗寺(兵庫)伝来 |
銘 文 | 墨書「龍興菴常住」「〓永徳癸亥夏六月念八日也 常蓮」 |
文 献 | 天竺へ:玄奘三蔵3万キロの旅. 奈良国立博物館; 朝日新聞社, 2011, 264p.奈良国立博物館蔵品図版目録 追録. 奈良国立博物館, 1999, 108p. |