阿弥陀如来像とその左右に脇侍(わきじ)の立像を配した塼仏。唐の貞観元年(六二七)銘を持つ同型品が知られ、本品も同時期に位置づけられる。日本で七世紀後半に流行した三尊形式の塼仏の系譜を考える上で重要。
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小型でありながら精細な表現が目をひく塼仏。ほぼ正方形で、周囲に細い突帯をめぐらし、その中に阿弥陀如来(あみだにょらい)と左右脇侍(わきじ)の三尊を表す。阿弥陀如来は両手を胸前にあげる説法印(せっぽういん)をとり、右足を前に結跏趺坐(けっかふざ)する。頭上には豪華な天蓋(てんがい)が表されている。本品は無銘であるが、同型品の中には裏面に「大唐貞観元年六月十日仏弟子祁瑛造瓦像一區」の銘文をもつものがある。中国の貞観元年は六二九年、初唐時代の作品である。この三尊の構図は、日本の白鳳期(七世紀後半)の三尊塼仏の形式に影響を与えたとみられ、日中の塼仏の系譜を辿る上で重要な位置を占めている。
(吉澤悟)
奈良博三昧―至高の仏教美術コレクション―. 奈良国立博物館. 2021.7, p.244, no.12.
方形の塼面の周囲に細い突帯をめぐらし、その中に三尊塼仏を半肉にあらわした、やや小形の塼仏である。その構図は一本の蓮茎から生じた三個の蓮座に説法印を結び、右足を前に結跏趺坐する阿弥陀如来を中心に、左右に脇侍の立像が並び、中尊の頭上には天蓋を懸けている。この塼仏と同型とみられる遺品で、裏面に「大唐貞観元年六月十日仏弟子〓瑛造瓦像一區」の銘文を有するものがあり、中国の貞観元年は六二九年にあたるので、初唐時代の作品とみられる。また三尊塼仏の構図が、わが国の白鳳時代の三尊塼仏の形式などに共通し、日本の塼仏の系譜をたどるうえでも重要な位置を占めている。
(井口喜晴)
東アジアの仏たち, 1996, p.255

