礼盤は、法会(ほうえ)を司(つかさど)る導師(どうし)が坐(すわ)る方形の座。通常盤面に畳を(たたみ)置いて用いられる。本品は箱形礼盤の一種で、側面を縦連子(たてれんじ)のみで表すように、簡素な作りを示す。裏面の墨書銘から制作年がわかる基準作である。
題箋
礼盤は修法や勤行に際し導師の牀座として用いられる台盤のことで仏殿の堂内具の一つとして無視出来ない大切な具である。形式的に箱形と猫足がついた猫脚形の二つに大別され、箱形はさらに四側面に格狭間や盲連子等をあらわした系統と繰形のみを飾る禅宗様にわかれる。この品は木製、黒漆塗りの四側面に縦盲連子をあらわし、要所には金銅製猪目透し、魚々子地に宝相華文を線刻した八双形金具を装着する。本来は四側面を束で二区に仕切ってそれぞれに盲連子なり格狭間をあらわすのを常とするが、この品はやゝ小振りであり、そのために一間仕立としたものであろう。おそらくは持仏堂など小規模の仏殿で用いられたかと考えられる。底裏に文禄四年の銘記をもつ。
(阪田宗彦)
密教工芸 神秘のかたち, 1992, p.196

