唐代の金剛智(こんごうち)(六七一〜七四一)訳。愛染明王の典拠となる経典で、略して『瑜祇経』とも呼ばれる。空海請来目録にその名がみえる。
愛染明王の姿については、本経の「愛染王第五」に偈の形で説かれている。すなわち「身色如日暉、住於熾盛輪、三目威怒視、首髻師子冠、利毛忿怒形、又安五鈷鉤、在於師子頂、五色華髻垂、天帯覆於耳、左手持金鈴、右執五峯杵、儀式如薩埵、安立衆生界、次左金剛弓、右執金剛箭、如射衆星光、能成大染法、左下手持彼、右蓮如打勢、一切悪心衆、速滅無有疑、以諸華鬘索、絞結以厳身、作結跏趺坐、住於赤色蓮、蓮下有宝瓶、両畔吐諸宝(以下略)」とあり、一面三目六臂で、身の色は日の暉きのように赤く、円輪に包まれ、宝瓶の上の赤い蓮華座に坐す愛染明王である。六臂のうち左第三手の持物は「持彼」とあって、具体的に記されておらず、修法の目的によって持物が変化する。たとえば日輪ならば息災法、宝珠は増益法、一鈷は調伏法、人頭または蓮華ならば敬愛法といった具合である。
本経には、金剛夜叉明王についての記述もある。すなわち「金剛夜叉の形は六臂にして衆器を持す。弓と箭と剣と輪と印、及び薩埵羯磨なり。五眼忿怒を布き、三首にして馬王髻あり。珠宝遍く厳飾す」とあり、三面六臂で中央面が五眼という金剛夜叉明王の姿が説かれている。
本品は建長八年(一二五六)に快成が造立した本館所蔵「愛染明王坐像」(958-2)に納められていたもので、書写したのは寂澄。
(西山厚)
明王―怒りと慈しみの仏,奈良国立博物館.2000.4,p.189.
重要文化財 こんごうぶろうかくいっさいゆがゆぎきょう(あいぜんみょうおうざぞうつけたり) 金剛峯楼閣一切瑜伽瑜祇経(愛染明王坐像附)
1巻
紙本墨書 巻子装
彫刻
鎌倉時代 13世紀
建長8年 1256年
- D024040
- D024040
- 2000/03/22
- 巻首
- D024042
- 2000/03/22
- 巻中
- D024044
- 2000/03/22
- 巻末
- D022940
- 1999/08/26
- 巻末
- A026252
- 2000/03/22
- 巻首
- A026254
- 2000/03/22
- 巻中
- A026255
- 2000/03/22
- 巻末
- A025940
- 1999/08/26
- 巻末
- A021094
- 1988/06/16
- 巻首
- A021095
- 1988/06/16
- 巻末
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| 収蔵品番号 | 958-3 |
|---|---|
| 部 門 | 彫刻 |
| 区 分 | 彫刻 |
| 部門番号 | 彫56-2 |
| 銘 文 | 金剛峯樓閣一切瑜伽瑜祇経奥書「金剛峯楼閣一切瑜伽瑜祇経/建長八年【丙/辰】正月晦日於馬臺山城国相楽郡東小原華臺院/書写了/願以此善根 依愛染引攝 順次生極楽 利益諸有情/金剛佛子寂澄四十七」 |
| 作品関係者 | 大佛師快成作、小佛師快尊・快弁、願主寂澄 |
| 指定名称 | 木造愛染明王坐像 台座に建長八年四月一日、大仏師刑部法橋快成等の銘がある 附 瑜祇経 建長八年正月晦日、寂澄書写奧書 一巻 |
| 指定番号 | 彫3319 |
| 指定年月日 | 昭和52年6月11日 |
| 文 献 | 大勧進重源:東大寺の鎌倉復興と新たな美の創出:御遠忌800年記念特別展. 奈良国立博物館, 2006, 285p.東大寺のすべて:大仏開眼1250年. 2002, 374p.明王:怒りと慈しみの仏. 奈良国立博物館, 2000, 209p.奈良国立博物館蔵品図版目録 彫刻篇. 奈良国立博物館, 1989, 111p. |
関連する文化財
| 収蔵品番号 | 画像 | 名称 |
|---|---|---|
| 958-2 |
|
愛染明王坐像 |
| 収蔵品番号 | 958-2 |
|---|---|
| 画 像 |
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| 名 称 | 愛染明王坐像 |

