宮廷や寺社の楽(がく)として行われた舞楽に使用された面。箟崙(ころばせ)八仙は鶴(つる)の舞だが、鶴のもつ優雅なイメージとはかけ離れた、目をむいた表情にユーモラスな味わいがある。眉に植毛(しょくもう)を施していた痕跡がある。
題箋
宮廷や寺社の楽として行われた舞楽に使用された面。崑崙八仙(ころばせ)は鶴の舞だが、鶴のもつ優雅なイメージとはかけ離れた、目をむいた表情にユーモラスな味わいがある。眉に植毛を施していた痕跡がある。
題箋
崑崙山(こんろんさん)に住すという八人の仙人を舞う舞が崑崙八仙で、羽を広げたような甲を被り、尖(とが)った嘴(くちばし)の先端に鈴を吊した、鶴をかたどった面を着けて舞われる。
崑崙八仙の面には大別して、目の輪郭に抑揚を付けやや下目遣(しためづか)いにした面と、口元に花弁状の肉垂れを表し驚いたかのように目をまん丸に見開いて正面を見る表情の面との二種類があるが、本面は前者のタイプである。鳥を擬人化した奇怪な表情の面であるものの、全体にはその奇怪さを抑えたおとなしい雰囲気が濃厚に感じられることから、制作時期は平安時代後期、12世紀と考えられる。
キリ一材より彫出し、眉には植毛していたとみられるが、現在はその痕跡の小孔をのこすのみである。表面の彩色も眼球に漆箔を残す以外すべて剥落し、素地を露呈している。
(礪波恵昭)
奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, p.299, no.99.

