幡は、堂内の柱や天蓋(てんがい)、あるいは境内に建てた竿(さお)に懸ける旗。ほとけのいる空間や法会を行う道場を荘厳(しょうごん)するために用いられる。
本品は素材に錦を用いた幡。吊金具(つりかなぐ)、幡頭(ばんとう)、幡身が遺ったもので、本来はこれに幡舌(ばんぜつ)、幡手、幡脚などの複数の帯をともなっていた。幡身には坪と呼ばれる三つの区画があり、中央に蓮華文、その上下は宝相華(ほうそうげ)唐草文の錦で飾る。幡坪は縦長の長方形や正方形をなすものが多いが、本品の幡坪は横長の長方形であり珍しい。縁には羯磨(かつま)を刺繡した錦を廻らす。羯磨は退色が見られるものの、ひとつずつ白・緑・黄・赤の色糸を用いて色に変化を付けている。当代の幡は、種子(しゅじ)や三昧耶形(さまやぎょう)などをあらわすものが多いなかで、本品は古風な感がある。
(伊藤旭人)
SHIBUYAで仏教美術ー奈良国立博物館コレクションより. 渋谷区立松濤美術館, 2022.4, p.114-115, no.68.
- D019305
- 1997/12/04
- 全体(A面)
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- 1997/12/04
- 全体(A面)(グレーバック)
- D019309
- 1997/12/04
- 全体(B面)
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- 1997/12/04
- 全体(B面)(グレーバック)
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- 全体(A面)
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- 全体(A面)(グレーバック)
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- 全体(B面)
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- 1997/12/04
- 全体(B面)(グレーバック)

修理前
- A023160
- 全体(A面)(幡頭部縁の傷右側)

修理前
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- 全体(B面)(幡頭部縁の傷左側)
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| 収蔵品番号 | 804-0 |
|---|---|
| 部 門 | 工芸 |
| 区 分 | 染織 |
| 部門番号 | 染88 |
| 文 献 | SHIBUYAで仏教美術ー奈良国立博物館コレクションより. 渋谷区立松濤美術館, 2022.4, 127p.奈良国立博物館蔵品図版目録 工芸篇 仏教工芸. 奈良国立博物館, 1992, 121p. |

