創建期の東大寺で用いられた「東大寺式」と称される軒瓦。軒丸瓦は花弁が照り起(むく)りのある複弁蓮華文(一枚の花弁に子葉を二つ置く蓮華文 )の周囲に大粒の珠文(しゅもん)を巡らせる。奈良時代前半の軒丸瓦は、蓮華文の周縁に鋸歯文(きょしもん)を巡らせることが一般的であったが、これには省略されている。
(中川あや)
奈良博三昧―至高の仏教美術コレクション―. 奈良国立博物館. 2021.7, p.247, no.30.
東大寺出土の軒丸瓦は、複弁蓮花文と大粒の連珠文を表し、従来の奈良時代の瓦の系統をひきながらも簡素で大ぶりに表される。東大寺は752年に大仏開眼供養が行われているが、そこに葺かれた瓦も新形式が採用され、いかにも総国分寺の建立にふさわしい。
(井口喜晴)
奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, pp.280-281, no.13-10.

