神護寺(じんごじ)に伝来した紺紙金字一切経で、神護寺に現在二千三百十七巻が伝存するほか、諸処に所蔵される。『神護寺略記(じんごじりゃっき)』に「金泥一切経 貞元録」と記されるものが本一切経にあたると考えられ、これに従えば『貞元新定釈教目録(じょうげんしんじょうしゃっきょうもくろく)』に基づき五千四百巻程度が書写されたことになる。また同記には、この一切経は鳥羽天皇(とばてんのう)発願経であり、のちに息子の後白河天皇(ごしらかわてんのう)(一一二七~九二)によって神護寺に安置されたと記される。一切経を含む経帙(きょうちつ)の一部には、久安(きゅうあん)五年(一一四九)の墨書がある。本一切経は、紺紙に銀泥で界線を引き、金泥で経文を書写する。また首題(しゅだい)の下方には神護寺の朱印が捺(お)される。料紙は、中尊寺経などと比べて濃い紺色である。表紙は金銀泥による宝相華唐草文、見返しには金銀泥で釈迦説法図を描く。見返しの図様は、霊鷲山(りょうじゅせん)を中心とする遠景の山々と、正面向きの釈迦説法図の組み合わせで、簡略な天蓋(てんがい)を除き、釈迦の周囲に宝樹(ほうじゅ)や散華(さんげ)などは描かれない。仏菩薩の表情や衣文の描き方など細部は異なるものの、いずれの経巻もほぼ同じ構図であり、かなり定型化されている。
(斎木涼子)
まぼろしの久能字経に出会う 平安古経展, 2015, p.149
だいちどろん かんだい74(じんごじきょう) 大智度論 巻第七十四(神護寺経)
1巻
紙本 楮紙 紺紙 金泥書 金銀泥見返絵 銀界(巾1.85㎝) 巻子 (軸)金堂撥型軸
縦26.0 長1191.6 23紙(原表紙共 一紙巾53.9 一紙29行)
書跡
平安時代 12世紀

- D000601

- D009178
- 1994/03/31
- 表紙(アップ)

- D009175
- 1994/02/25
- 表紙

- D000601
- 1989/08/03
- 見返絵及び巻首

- D000604
- 巻首拡大(「神護寺」朱印有)

- A024527
- 1994/03/31
- 表紙(アップ)

- A024526
- 1994/02/25
- 表紙

- A021834
- 1990/01/12
- 見返絵,巻首

- A021835
- 1990/01/12
- 巻末

- A021836
- 1990/01/12
- 巻末(軸共)

- A021842
- 1990/01/12
- 表紙

- A021840
- 1990/01/08
- 巻中

- A021829
- 1989/08/03
- 見返絵,巻首

- A021830
- 見返絵,巻首

- A021831
- 表紙

- A021832
- 見返絵,巻首

- A021833
- 巻末

- A021837
- 見返絵,巻首

- A021838
- 巻末

- A021839
- 巻首
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収蔵品番号 | 765-0 |
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部 門 | 書跡 |
区 分 | 書跡 |
部門番号 | 書26 |
伝 来 | 神護寺(京都)伝来 |
銘 文 | 朱文長方印「神護寺」 |
文 献 | まぼろしの久能寺経に出会う : 平安古経展. 奈良国立博物館, 2015, 172p.奈良国立博物館蔵品図版目録 書跡篇. 奈良国立博物館, 1990, 136p. |