鈴身(れいしん)に蓮台(れんだい)上に載る金剛界(こんごうかい)四仏の種子(しゅじ)、間地(まじ)には宝相華(ほうそうげ)、その上下に金剛杵(こんごうしょ)をつなげた文様(もんよう)帯をめぐらせる。金剛界種子を表しながら、高い装飾性が特徴の胎蔵界(たいぞうかい)種子鈴(しゅじれい)の形式をとる異例の品である。
題箋
鈴身の側面に金剛界四仏種子を鋳出した五鈷鈴。唐招提寺の種子鈴は、金剛界五物種子を伴いながら、鈴部に宝相華文様の装飾が見られたが、本鈴はさらに装飾に富み、全体の荘厳(しょうごん)は、胎蔵界系の種子鈴と全く同一である。鋳出種子も、金剛界鈴では五仏種子とするのが一般的であるが、本鈴では鈴自体を大日如来にみたて、四仏種子とする胎蔵界種子鈴通有の特徴を踏襲している。金剛界種子鈴としては異例に属する作品である。なお現状では表面にわずかに箔鍍金が認められるが、この鍍金は口縁部の磨滅部にも残存しており、当初の造作とは考えにくい。
仏像をあらわした金剛鈴, 1988, p.22

