龍村美術織物(たつむらびじゅつおりもの)が製作した伎楽迦樓羅の面、装束のセットで、奈良国立博物館には昭和三十七年(一九六二)に納品された。正倉院宝庫には迦樓羅の銘をもつ伎楽装束に、五点の面・袴・布衫(ふさん)・襪(しとうず)・帯が伝わるが、これらは一具のセットではない。宝庫には迦樓羅の装束を包んでいた裂(きれ)もあり、「九物」という墨書がある。宝亀十一年(七八〇)に作成された『西大寺資財流記帳(さいだいじしざいるきちょう)』には迦樓羅の装束として、頂隠(ちょういん)・袍(ほう)・下衣・衫(さん)・袴・勒肚巾(ろくときん)(帯)・脛裳(すねも)・袜(襪)・幞子(はちまき)の九品が挙げられており、宝庫の迦樓羅の装束を考える上で参考となろう。本品では宝庫に伝わっていない衣装については、他の装東を参照して製作されている。
(内藤栄)
よみがえる正倉院宝物. 奈良国立博物館, 2020.4, p.46, no.20.
伎楽に用いる迦楼羅の仮面の模造。迦楼羅は劇中で土中の毒虫を啄(ついば)む所作をするとされる。原品は東大寺に伝わり、東大寺華厳会(けごんえ)で用いられたことが墨書銘からわかる。欠失した鶏冠(とさか)を復元している。(この解説は、一括資料のうち「伎楽面」に関するものである)
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