現在の正倉院宝庫は、講堂跡の北西に位置し、奈良時代の創建以来罹災(りさい)せずに現在に至る数少ない旧東大寺内の建造物である。かつては、現存の宝庫以外に、多くの倉が立ち並ぶ倉庫群を構成していた。文献史料からは、天平宝字五年(七六一)以前に正倉院宝庫が機能していたことが知られ、天平勝宝八歳(七五六)頃には完成していたと推測されている。
現宝庫の屋根には部分的に奈良時代の瓦も残っているようだが、正倉院の敷地内からも瓦類の出土が確認されている。本品は東大寺系の均整唐草文軒平瓦である。正倉院で出土する軒平瓦にはこれより少し古い段階のものがあり、それが宝庫で用いられたものとすると、本品は正倉院内の現宝庫以外の建物あるいは近接する僧房などで用いられたものかもしれない。出土瓦からは、文献史料から推測される時期に正倉院宝庫が建てられたものとみて矛盾しない。より厳密な年代の特定は、現在進められている年輪年代法の結果などに期待すべきであろう。なお、正倉院周辺からは東大寺創建以前に相当する興福寺式の軒瓦も出土しており、付近に東大寺創建以前の仏堂が存在した可能性があり、今後の検討課題である。
(高橋照彦)
大仏開眼一二五〇年 東大寺のすべて,奈良国立博物館.2002.4,p.304.
きんせいからくさもんのきひらがわら(ならけんしょうそういんしゅつど) 均整唐草文軒平瓦(奈良県正倉院出土)
1個
瓦製
幅28.5
考古
奈良時代 8世紀
- D030161
- D030161
- 2002/03/01
- 全体(瓦当)
- A027146
- 2002/03/01
- 全体(瓦当)
- A023948
- 瓦当
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| 収蔵品番号 | 450-5 |
|---|---|
| 部 門 | 考古 |
| 区 分 | 考古 |
| 部門番号 | 考50 |
| 伝 来 | 奈良市雑司町、旧見性院出土 |
| 文 献 | 大仏開眼一二五〇 東大寺のすべて, 奈良国立博物館, 2002.4, 374p.奈良国立博物館蔵品図版目録 考古篇 仏教考古. 奈良国立博物館, 1993, 156p. |

