帝国奈良博物館の開館の翌年である明治二十九年(一八九六)十月に購入された作品。同年に購入された作品には檜和琴(ひのきのわごん)、子日目辛鋤(ねのひのてからすき)、子日目利箒(ねのひのめとぎのほうき)、正倉院宝庫模型などがある。明治時代の博物館コレクションの形成における模造品の重要性がうかがえる。
本品は白石火舎(はくせきのかしゃ)の模造。原宝物は大理石製の火炉(かろ)を金銅製の五本の脚で支える構造である。火炉は外側に広がる鍔(つば)状の口縁をもち、二条の突帯(とったい)を三組巡らしている。脚は後脚で立つ獅子(しし)をかたどり、脚と脚の間には金銅製の遊鐶(ゆうかん)を火炉側面に取り付けている。
本品は脚と遊鐶は金銅製であるが、火炉は木製彩色としており、彩色は金銅製を意図していると思われる。森川杜園(もりかわとえん)は奈良生まれの木彫家で、明治八年(一八七五)の奈良博覧会に際して正倉院宝物の模写、模造に従事した。本品が原宝物の素材と異なる木製でつくられた理由は、杜園が得意とする木工技術を用いたためであろう。
(内藤栄)
よみがえる正倉院宝物. 奈良国立博物館, 2020.4, p.54, no.23.
- D017760
- D017760
- 1997/03/25
- 全体
- D036778
- 1995/06/27
- 全体
- A025019
- 1997/03/25
- 全体
- A029491
- 全体
- A029492
- 全体
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| 収蔵品番号 | 251-0 |
|---|---|
| 部 門 | 工芸 |
| 区 分 | 工芸 |
| 部門番号 | 工86 |
| 文 献 | よみがえる正倉院宝物. 奈良国立博物館, 2020.4, 223p.模造にみる正倉院宝物. 奈良国立博物館, 2005. |

