千本の腕をもつ千手観音が画面中央の蓮台の上に座っている。観音の頭頂からは涌雲が伸び、雲の上には腹前で定印(じょういん)を結ぶ阿弥陀如来が坐像で表されている。その周囲は彩色が薄れて見にくくなっているが、よく見ると観音の左右に眷属(けんぞく)である二十八部衆(にじゅうはちぶしゅう)が密集して立っており、画面の下方中央には風神・雷神も見える。この場所は前方に水面のある岩場で、観音の住む補陀落山(ふだらくせん)に千手観音と二十八部衆が姿を表した場面を描いたものといえる。
千手観音二十八部衆像の絵画作例は鎌倉時代中後期以降に知られるが、観音の頭上に阿弥陀如来坐像が表される点や、胎蔵界曼荼羅(たいぞうかいまんだら)に描かれる姿に一致する図像で千手観音が表される点、二十八部衆の図像が変わっている点など、珍しい図像が際立つ稀有な作例といえる。
箱書等の墨書から、奈良県天理市内にかつて所在した桃尾山(もものおさん)龍福寺(りゅうふくじ)千手院(せんじゅいん)の旧蔵品と知られる。布留瀧(ふるのたき)(桃尾滝(もものおのたき))の北側上手(かみて)に所在した龍福寺は、山岳修行者の行場として知られ、中世には真言密教の道場として栄えた。本図がどのような経緯で描かれ、礼拝され、伝来したのか、関心がもたれる。
(北澤菜月)
奈良国立博物館だより第131号. 奈良国立博物館, 2024.10, p.8.
せんじゅかんのんにじゅうはちぶしゅうぞう 千手観音二十八部衆像
1幅
絹本著色 掛幅装
本紙:縦113.7 横63.9 表具:縦201.0 横84.2
絵画
鎌倉時代 13世紀
- H058598
- H059773
- 2023/09/29
- 全図(表具含む)
- H059774
- 2023/09/29
- 全図
- H059775
- 2023/09/29
- 画面上1/3部分
- H059776
- 2023/09/29
- 画面中1/3部分
- H059777
- 2023/09/29
- 画面下1/3部分
- H058597
- 2023/03/08
- 全図(表具含む)
- H058598
- 2023/03/08
- 全図
- H058599
- 2023/03/08
- 画面上1/3部分
- H058600
- 2023/03/08
- 画面中1/3部分
- H058601
- 2023/03/08
- 画面下1/3部分
- J006417
- 2023/09/29
- 画面上1/3部分
- J006418
- 2023/09/29
- 画面中1/3部分
- J006419
- 2023/09/29
- 画面下1/3部分
- J006161
- 2023/03/08
- 画面上1/3
- J006162
- 2023/03/08
- 画面中央1/3
- J006163
- 2023/03/08
- 画面下1/3
もっと見る
| 収蔵品番号 | 1578-0 |
|---|---|
| 部 門 | 絵画 |
| 区 分 | 絵画 |
| 部門番号 | 絵297 |
| 伝 来 | 奈良・桃尾山龍福寺千手院(廃寺、天理市) |
| 寄 贈 | 寄贈(牧浦房太郎氏) |
| 銘 文 | 箱蓋表墨書「千手観音」 箱身底裏墨書「和州桃尾山 寛文十一年辛亥八月吉日 千手院快深/□□所蔵」 旧上巻絹墨書「千手観音尊像 金岡 和州桃尾山千手院」 |

