キリの円い一枚板に二茎の萩を表した雲板(うんばん)。上方側面に吊下(つりさげ)金具二箇を取り付ける。背面に「昭和三十五年仲秋 七十八翁省古作之」と刻む。白い萩の花は象牙、枝葉はシタン、玳瑁(たいまい)、アワビガイ、銀、緑色に染めた角(染角)等を象嵌(ぞうがん)して表しており、素材の変化に富んでいる。萩の周囲には弧(こ)を描く細長い葉を配すが、材は象牙、玳瑁、ツゲ、染角と、萩の枝葉と同様にバリエーションをもたせている。本品は昭和三十六年(一九六一)に歿した木内省古の晩年の作であり、数種類の素材を象嵌する高い技術を見て取ることができる貴重な作といえよう。なお、雲板は雲版とも書き、本来は色紙(しきし)や短冊(たんざく)などを入れて壁に掛ける額の一種で、形は円いものが多い。本品は色紙などを入れる機能は見当たらないことから、雲板に見立てた円形の板に象嵌を施した壁掛けと見られる。省古は雲板を数点制作したことが知られており、「図案 椿雲板」にも確認できるように、季節の草花を雲板に意匠化した。
(田澤梓)
名匠三代―木内喜八・半古省古の木工芸―, 2015, p.44
はぎぞうがんぶんばん きうちしょうこさく(きうちけさんだいしりょうのうち) 萩象嵌雲板 木内省古作(木内家三代資料のうち)
1面
木製 キリ材 象嵌 吊下金具:銀製
径39.4 厚1.8
工芸
昭和 20世紀
昭和35年 1960年
- H029563
- H029563
- 2015/02/24
- 全体(表面)
- H029564
- 2015/02/24
- 全体(裏面)
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| 収蔵品番号 | 1488-0 |
|---|---|
| 部 門 | 工芸 |
| 区 分 | 工芸 |
| 部門番号 | 工365 |
| 寄 贈 | 岡井一子氏寄贈 |
| 銘 文 | (裏面刻銘)昭和三十五年仲秋/七十八翁省古作之 |
| 文 献 | 名匠三代木内喜八・半古・省古の木工芸. 奈良国立博物館, 2015.6, 64p. |

