玳瑁(たいまい)(鼈甲(べっこう))製の一対の櫛と笄(こうがい)。櫛は三十四歯で峰(みね)の部分に色漆(いろうるし)を塗って竹に擬し、中央のやや脇には節(ふし)を表している。また竹表面に現れる斑(ふ)や縦筋なども再現しており、近代工芸に顕著なトリッキーな表現が看取される。擬竹(ぎちく)の表面には金高蒔絵(たかまきえ)で蔦(つた)が表されており、赤い実なども添えられている。蔦の文様は表裏に峰を挟んで連続して配置されている。笄は杵(きね)形で、両小口(こぐち)には管を表して切り口を再現している。漆の粒を塗布して斑を表現するなどの質感を高めており、一見すると玳瑁細工(ざいく)とは思えないように仕上げている。擬竹の表面には蔦が金高蒔絵で表され、やはり赤い実などが添えられている。櫛と笄は幕末には揃いのものとなり、同素材・同意匠が通例となった。玳瑁の櫛・笄は十七世紀後半から十八世紀初頭に人気を集め、近代に至っても愛好されており、明治三十三年(一九〇〇)頃に、黒鼈甲に金高蒔絵で作るのが流行したとされる。本品はまさにその流れに棹(さお)さすものであり、明治工芸の特色ある一面を示している。
(清水健)
名匠三代―木内喜八・半古省古の木工芸―, 2015, p.45
つたもんまきえくし・こうがい(きうちけさんだいしりょうのうち) 蔦文蒔絵櫛・笄(木内家三代資料のうち)
1枚 1本
玳瑁製 漆塗 蒔絵
櫛:縦3.5 横8.5 笄:長14.3 最大径1.0
工芸
明治時代~昭和 19~20世紀
- H029561
- H029560
- 2015/02/17
- 全体(A面)
- H029561
- 2015/02/17
- 全体(表面)
- H029562
- 2015/02/17
- 全体(裏面)
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| 収蔵品番号 | 1487-0 |
|---|---|
| 部 門 | 工芸 |
| 区 分 | 工芸 |
| 部門番号 | 工364 |
| 寄 贈 | 岡井一子氏寄贈 |
| 銘 文 | 櫛 紅色貼紙「イ七ニ.スヲ.タ」、笄 紅色貼紙「イ七ネ.スヲタ」、箱蓋表墨書「金銀/玳瑇装 束髪差」、箱蓋裏墨書「昭和庚午冬日/省古作」 |
| 文 献 | 名匠三代木内喜八・半古・省古の木工芸. 奈良国立博物館, 2015.6, 64p. |

