盆、合子(ごうす)、灰入(はいいれ)からなるケヤキ材製の煙草盆(たばこぼん)のセット。盆は六つの弧線(こせん)をつないだ形のやや長めの盆で、長辺中央が深く切り込んでいる。縁は丸みを持って立ち上がり、外側に一本の突帯(とったい)をめぐらしている。合子は全体の形は楕円(だえん)形であるが、蓋と身とで緑の形を変えている。蓋は中央の弁に稜を表した三弁の花文を四枚広げた形で、上面には照りむくりを表している。身は十二本の弧線を繋げた花形であるが、長辺中央と短辺中央の弧は長めに取り、中央に稜線を表している。灰入は八弁の花形を表したコップ形で、側面は下方近くでやや細かく締め、口は外反(そとぞ)りを見せる。花弁の形に合わせ、側面には十六本の稜線を縦に彫刻している。灰入の内側には、銀線、打出(うちだし)の内炉を納めている。盆の底裏に「喜寿/半古作」という陰刻銘があり、喜寿(きじゅ)を迎えた木内半古の作になることがわかる。このうち、合子は蓋の形が正倉院宝物の漆彩絵花形皿(うるしさいえのはながたざら)(南倉四〇)あるいは刻彫梧桐金銀絵花形合子(こくちょうごとうきんぎんえのはながたごうす)(第一号・南倉三六)に着想を得て作られたと考えられ、身の形は正倉院宝物の緑瑠璃十二曲長坏(みどりるりのじゅうにきょくちょうはい)(中倉七二)などを想起させる。また、盆は素木三鈷箱(しらきさんこのはこ)(南倉五三)や金銀絵長花形几(きんぎんえのちょうはながたき)(第一九号・中倉一七七)など、正倉院宝物を彷彿(ほうふつ)させる器形を見せている。木内半古が正倉院宝物の修理、研究で得た成果を自身の創作に反映させた例と考えられ、晩年を迎えた半古の衰えることのない創作意欲が感じられる作品である。
(内藤栄)
名匠三代―木内喜八・半古省古の木工芸―, 2015, 42p.
ちょうはながたたばこぼん きうちはんこさく(きうちけさんだいしりょうのうち) 長花形煙草盆 木内半古作(木内家三代資料のうち)
1具
木製 漆塗
盆:長32.7 幅21.9 高2.2 合子:長15.2 幅9.0 蓋高1.8 身高3.0 灰入:径7.4 高7.7
漆工
昭和 20世紀
昭和6年 1931年
- H029496
- H029496
- 2015/02/18
- 一具全体(盆の上に合子と灰入を乗せた状態)
- H029497
- 2015/02/18
- 合子斜全体
- H029498
- 2015/02/18
- 合子全体(蓋を身に懸けた状態)
- H029499
- 2015/02/18
- 灰入全体(斜め上から見た状態)
- H029500
- 2015/02/18
- 盆上面(真上から見た状態)
- H029501
- 2015/02/18
- 盆裏面(真上から見た状態)
- H029502
- 2015/02/18
- 合子蓋表(真上から見た状態)
- H029503
- 2015/02/18
- 合子蓋裏(真上から見た状態)
- H029504
- 2015/02/18
- 合子身見込(真上から見た状態)
- H029505
- 2015/02/18
- 合子身底裏(真上から見た状態)
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| 収蔵品番号 | 1472-0 |
|---|---|
| 部 門 | 工芸 |
| 区 分 | 漆工 |
| 部門番号 | 工349 |
| 寄 贈 | 岡井一子氏寄贈 |
| 銘 文 | 盆底裏に「喜寿/半古作」(縦書)の印刻銘がある。 |
| 文 献 | 名匠三代木内喜八・半古・省古の木工芸. 奈良国立博物館, 2015.6, 64p. |

