鈴身(れいしん)に四天王立像と三鈷杵(さんこしょ)を表した五鈷鈴(ごこれい)。四天王はそれぞれ邪鬼(じゃき)の上に立ち、火焔(かえん)のある頭光(ずこう)を負う。四天王や金剛杵(こんごうしょ)は諸魔から仏法を守護する役目のもので、金剛鈴を仏に見立てたものであろう。
題箋
鈴身(れいしん)に四天王立像(してんのうりゅうぞう)を陽鋳した五鈷鈴(ごこれい)。鈴身は口縁が八花形で、身の側面も口縁の形に応じて8箇の隆起を縦に作り、その隆起部に四天王立像と三鈷杵(さんこしょ)文を交互に陽鋳している。四天王はそれぞれ邪鬼上に立ち、西域風の鎧(よろい)を身に着け種々の武器などをとり、火焔(かえん)のある頭光を負っている。三鈷杵は強い逆刺(さかし)を有し、把(つか)は7箇の珠を連ねている。身の肩には唐草文と花文を交互に4箇ずつ表しているが、いずれも手擦れあるいは鋳掛けのため不鮮明である。把の下部で折れたらしく、接合されている。本品は唐の請来品と考えられる香川・弥谷寺所蔵の金銅四天王五鈷鈴(こんどうしてんのうごこれい)と形式が近似するが、地に魚々子(ななこ)を打たないなど彫金技法に差異がある。手擦れや補修によって細部が不鮮明になっている点が惜しまれる。なお、金箔は後世のものと思われる。
(内藤栄)
古玩逍遥 服部和彦氏寄贈 仏教工芸. 奈良国立博物館, 2007, p.29, no.14.

