羯磨は四つで一組の法具(ほうぐ)。密教修法(しゅほう)を行う壇(だん)を守るため、四方に置かれる。本品は鎌倉時代の遺例で、鈷(こ)が細く、中央に花形を表し、大きめの花心に斜格子文(しゃごうしもん)を刻む点に特徴がある。
題箋
中央の轂(こく)は多弁の菊花形で、大きめの花心に斜格子(ななめごうし)文を刻んでいる。鈷部は轂の付け根に間弁付きの素弁帯を表している。鈷(こ)は全体に細く繊細に作られている。本品は当館に所蔵される金銅羯磨(こんどうかつま)(鎌倉時代・13世紀、791・工165)と、菊花形の轂、細めの鈷部などきわめて近似している。ただし、工165に比べ本品は花心が平板で、また花弁も立体感に欠けるなど僅かながら差異が見られる。工165あるいはその類品を範として製作されたものと推測される。
(内藤栄)
古玩逍遥 服部和彦氏寄贈 仏教工芸. 奈良国立博物館, 2007, p.53, no.33.

