閼伽桶(あかおけ)は密教法具の一つで浄水を井戸や泉から汲むのに用いられる。水を汲んだ桶は閼伽棚(あかだな)に置かれ、そこから水を六器(ろっき)に移して壇上に捧げられた。底裏の針書銘(はりがきめい)から制作年代がわかる貴重な基準作である。
題箋
閼伽桶(あかおけ)は浄水を井泉から汲んでくるために用いられる小型の手桶。浄水を汲んだ後の閼伽桶は閼伽棚(あかだな)に置かれ、そこから六器(ろっき)に移され壇上に捧げられた。浄水は煩悩(ぼんのう)を洗い雪(そそ)ぎ、諸尊を供養(くよう)するために献じられるもので、香や華、燈火とともに重視された。
本品は、高台(こうだい)から把(つか)の装着に用いる耳まで共鋳し、表面を轆轤挽(ろくろび)きで仕上げている。把は別鋳したものを鋲(びょう)で留め、底も別鋳したものを嵌(は)め込んでいる。底裏に針書(はりがき)銘があり、年代がわかる基準作例として貴重である。
(清水健)
古玩逍遥 服部和彦氏寄贈 仏教工芸. 奈良国立博物館, 2007, pp.62-63, no.40.

