銀製三重塔に建物をかたどった小さな金製容器を納めた舎利容器で、舎利は金製容器の中に入れられた。三重塔の形式は高麗時代の特徴をよく示している。おそらく、石造塔の中に安置されていたのであろう。
題箋
銀を鍛造(たんぞう)し、鑞付けで形作った三重塔形舎利容器(さんじゅうのとうがたしゃりようき)。各層と三層目屋根の四部分に分解することができる。屋根には瓦列(かわられつ)を線刻し、軒下は四段の階段状としている。相輪(そうりん)は下半部に大小二個の玉を連ね、上に四輪を表している。塔身は各層とも一面にのみ、それぞれ異なった尊像(初層は天部立像、二層目は如来坐像、三層目は千手観音坐像)を線刻している。金製舎利容器は銀製容器内に安置され、直接舎利を奉安していたと推測される。金鍛造製で宝形造(ほうぎょうづくり)の堂宇をかたどり、屋根が容器の蓋となっている。層塔形舎利容器は朝鮮半島の統一新羅時代から高麗時代にかけしばしば見られ、層塔の軒下を階段状とする例も同時代に多数見ることができる。また、相輪に複数の大きめの玉を連ねた形式が高麗時代の塔に見られることから、本品の製作時期は高麗時代と推定される。
(内藤栄)
古玩逍遥 服部和彦氏寄贈 仏教工芸. 奈良国立博物館, 2007, p.28, no.13.

