筑波山(つくばさん)の東方、古代の常陸(ひたち)国府(こくふ)の裏山的な場所から見つかった骨壷である。壺は尾張(おわり)(現在の愛知県)の猿投窯(さなげよう)で焼かれた灰釉陶器。もとは薬物か珍味かは分からないが、中に貴重なものを収めて東海道を東に、さらに船に乗せられてはるばる常陸国の都にまで運ばれた。中身もさることながら、白い素地に緑の釉薬(うわぐすり)がかかる美しい壺は、地元名士の垂涎(すいぜん)の的であったに違いない。今、本品を手に取ってみると、驚くほど軽い。キメ細かく、腰が強く、さらに耐火性の高い粘土をつ使い、限界まで薄く削り込み、窯内では歪まない程度に硬く焼き上げる。とても地元の土と窯では実現できない高度な技術である。
一方、この壺を守っていた外容器は、地元の新治窯(にいはりよう)で焼かれた須恵器の甕(かめ)と鉢(はち)であった。壺より一回り大きく頑丈な甕の上半部を打ち欠き、ぴったりと壺を収納し、上から防止のように鉢を被せていた。
中核に遠来の貴重な壺、それを包む地元の甕と鉢。この組み合わせには、金・銀から銅・石の容器へと入れ子にする舎利容器のイメージが投影されている。大切な人の遺骨をお釈迦さまの舎利にたとえた知識人の所業であろう。
(吉澤悟)
奈良国立博物館だより第132号. 奈良国立博物館, 2025.1, p.8.
ぞうこつき(いばらきけんにいはりぐんやさとまちしゅつど) 蔵骨器(茨城県新治郡八郷町出土)
1式
陶製(灰釉陶器) 須恵器
考古
平安時代 9世紀
- D054334
- D054334
- 2008/11/11
- 全体
- A030869
- 2008/11/11
- 全体
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| 収蔵品番号 | 1354-0 |
|---|---|
| 部 門 | 考古 |
| 区 分 | 考古 |
| 部門番号 | 考331 |
| 伝 来 | 茨城県新治郡八郷町出土 |
関連する文化財
| 収蔵品番号 | 画像 | 名称 |
|---|---|---|
| 1354-1 |
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灰釉陶器短頸壺(茨城県新治郡八郷町出土) |
| 1354-2 |
|
灰釉陶器皿(茨城県新治郡八郷町出土) |
| 1354-3 |
|
須恵器甕(茨城県新治郡八郷町出土) |
| 1354-4 |
|
須恵器鉢(茨城県新治郡八郷町出土) |
| 収蔵品番号 | 1354-1 |
|---|---|
| 画 像 |
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| 名 称 | 灰釉陶器短頸壺(茨城県新治郡八郷町出土) |
| 収蔵品番号 | 1354-2 |
|---|---|
| 画 像 |
|
| 名 称 | 灰釉陶器皿(茨城県新治郡八郷町出土) |
| 収蔵品番号 | 1354-3 |
|---|---|
| 画 像 |
|
| 名 称 | 須恵器甕(茨城県新治郡八郷町出土) |
| 収蔵品番号 | 1354-4 |
|---|---|
| 画 像 |
|
| 名 称 | 須恵器鉢(茨城県新治郡八郷町出土) |

