鼎(てい)は、肉などを煮で供献用(きょうけんよう)の料理を作るのに用いた鍋である。中国では新石器時代以来、三足のついた鼎や鬲(れき)が発達した。二里頭期にすでに青銅の鼎が作られていたが、本格的に発達したのは晩商期になってからである。商代後期までは実用的なものであったと考えられ、この鼎のように文様がないか、ごく簡単な文様しか持たないものが通有である。この時期の鼎には、大抵火にかけたときの煤がついている。本器は商代前期と後期の間(商代中期)の例で、三足が中空で先端がとがっているのが特徴である。
(難波純子)
坂本コレクション 中国古代青銅器. 奈良国立博物館, 2002, p.36, no.93.
三足のついた鼎は、肉などを煮るのに用いた鍋である。商後期までは実用的なものだったと考えられ、無文またはごく簡単な文様しか持たないものが多く、煤(すす)がついている。その後、文様を大きく飾るものも増え、方鼎(四角い鼎)や大型の鼎なども作られ、階級を表わす重要な彝器(いき)としての体(てい)を具(そな)えるようになる。
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古代中国の青銅器は、利器よりも祭祀や儀式に用いる飲食器が主要な器種になるという、独自の発展を遂げた。ユニークな形状は金属加工技術の高さを示し、表面は獣面(じゅうめん)文などの文様で飾り立てられる。
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