器身に大きく直条文(縦じまの文様)と浮き彫りの鳥文(鳳凰文)を飾り、凹凸の激しい稜脊(りょうせき)(鰭飾り)を持つ。さらに、稜脊の間には木の枝のように水平に伸びる装飾が加えられて、全体がすきまなく立体装飾でうめつくされている。蓋にも同じ趣向の装飾がついている。器底と蓋の裏に「婦〓作文〓日癸尊彝析子孫」という銘文がある。このような卣(ゆう)は1930年代に陜西省宝鶏市(せんせいしょうほうけいし)で見つかった柉禁(へんきん)という青銅器セット(現メトロポリタン美術館蔵)にも含まれていて、本例も商末周初期の重要な器として作られたと考えられる。近年、河南省安陽市殷墟(かなんしょうあんようしいんきょ)でこれらの卣の鋳型が発見されていて、商末周初期の青銅器を研究する上で非常に重要な器といえよう。
(難波純子)
坂本コレクション 中国古代青銅器. 奈良国立博物館, 2002, pp.32-33, no.69.
器身に大きく直条文(縦縞の文様)と浮彫りの鳳凰文を飾るとともに、豪華な稜脊(りょうせき)(鰭飾(ひれかざ)り)や枝のような突起を飾り、全体を立体装飾で隙間なくうめ尽(つ)くしている。器底と蓋の裏に「婦〓作文〓日癸尊彝析子孫」(婦〓が文〓日癸に宝の彝器を作ってあげたの意)という銘文がある。商末周初期の重要な器として作られた優品である。
題箋

