商代後期後半の觚(こ)の一例である。ラッパ形の口の部分には他の器と少し異なり、矢羽のようなデザインで縁どった三角形の文様(尖葉文)がつけられていて珍しい。また、中央の部分(腹部)や圏足部には通常の饕餮文(とうてつもん)とは少し異なり、下方に巻き込んだ胴体の先端に足の表現がある夔文(きもん)が飾られている。商代後期も中頃を過ぎると、マンネリ化した伝統的な文様デザインとは異なる、斬新なデザインを模索するようになったらしく、このほかにも新しいデザインがいろいろ見られるようになる。
(難波純子)
坂本コレクション 中国古代青銅器. 奈良国立博物館, 2002, p.24, no.39.
觚は爵(しゃく)とセットで用いられた祭祀用の飲酒器(カップ)である。商前期(二里岡(にりこう)期)に出現したが、爵と必ずセットをなすようになり、商後期に最も盛行した。下方は上げ底になっていて、十字形の孔があいている部分から下が足(圏足(けんそく))である。次第に口が大きく開くようになる。
題箋

