西周期の簋(き)の資料は比較的多くてさまざまな種類の文様や装飾を持つものが見られ、この器種がかなり重要視されていたことをうかがわせる。しかし西周後期には全体が定型化して文様もごく簡略化したものがつけられるのみとなり、代ってその所持数でその地位を象徴するようになる。それをうかがわせるようにいくつもの簋が並んで出土したとき、それらを列簋(れっき)と呼んでいる。この簋は蓋が失われていて足も補修されているが、内底に長文の銘文が鋳込まれている。「伊」という人物が王命を受けて褒美(ほうび)をもらったときの様子が克明に記されている。
(難波純子)
坂本コレクション 中国古代青銅器. 奈良国立博物館, 2002, pp.44-45, no.178.
この簋は蓋が失われていて足も補修されているが、内底に長文の銘文が鋳込まれている。「伊という人物が王に命を受け、佩玉や旗などを褒美にいただいたので、伊は、感謝してこの青銅器を作った。代代大事に使いなさい。」という青銅器作成の経緯にまつわる文章である。
題箋

