簋(き)は、穀物を盛るのに用いられたとされる器である。青銅製の簋は商代前期に製作が始まるが、商代後期に至るまでは重要視されていなかったらしく、出土例も少ない。当コレクション中には、発達段階に当たる稀有(けう)な簋が含まれている。本例は商末周初期の例で、器身全体に大眉饕餮文(おおまゆとうてつもん)が表わされ、この時期に流行した鳥頭形の両耳が付けられている。
(難波純子)
坂本コレクション 中国古代青銅器. 奈良国立博物館, 2002, p.43, no.161.
通常は角(つの)が表わされる位置に大きな眉毛のようなものを飾る大眉饕餮文は、商末周初期に流行した文様である。簋(き)は商末周初期より急速に例数が増える器で、互いによく似た幾種類かの両耳を持ち、同じ模型を再利用して大量生産したのではないかと推測できる。中でもこの簋はやや大型で精巧に作られている。
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