商代後期になると、太い柱足を鋳造(ちゅうぞう)欠陥を生じることなく鋳造する技術が発達した。また、実用品ではなく彝器(いき)として装飾が重要視されるようになり、全体に文様を飾るものも現れる。この鼎は商末周初期に相当すると考えられる大型鼎で、重さ62.5キログラムをはかる。当コレクション中でも代表的な資料となっている。大型の鼎は特に商末周初期の例が多いので、この時期に威信材(いしんざい)として多数製作されたらしい。殷墟の大型方鼎鋳造遺構(おおがたほうていちゅうぞういこう)の例では、地面に内型を作りつけ、外型をその上部に組んで鋳造するという大掛かりな仕掛けが見つかっている。内壁に図像記号が鋳込まれている。
(難波純子)
坂本コレクション 中国古代青銅器. 奈良国立博物館, 2002, p.37, no.100.
商末周初期に製作されたと考えられる大形の鼎で、重さ六二・五キログラムをはかる。大きく張った腹部の上方にC字形の耳をもつ饕餮文帯を飾っている。これほど大型の鼎は例数が少ないものの、商末周初期の例が比較的多いため、この時期に威信財(いしんざい)として多数製作されたと考えられる。
題箋

