両手とも第一・二指を捻(ねん)じる来迎印の阿弥陀如来が雲に乗り、正面向きに訪れる様を描く。阿弥陀は肉身、衣とも金色の姿で表される皆金色身(かいこんじきしん)である。ただし、肉身は金泥塗(きんでいぬり)ながら、衣では茶色に重ね、丹の具を刷(は)き、截金(きりかね)文様を施す表現をとる。頭光は剝落(はくらく)で確認しづらいが截金で表され、さらに頭部からは截金により十三方に発せられる光明が表されている(後補部分は金泥)。
独尊の阿弥陀如来が正面向きの立ち姿で来迎する図像は、中国宋代の阿弥陀像を承けて表されたとみられる。本図においても爪を長く表すなどいわゆる宋風表現への意識が認められる。ただ本図の場合、阿弥陀の姿が全長およそ一一五センチメートルを計ることから、鎌倉時代以降流行した三尺(さんじゃく)阿弥陀と呼ばれる皆金色の阿弥陀如来立像の姿に重ねて、あるいはそれを写して描かれた可能性も考えられている。なお、法然上人絵伝(ほうねんしょうにんえでん)などの往生(おうじょう)場面を見ると、三尺阿弥陀も本図のような来迎図も、臨終行儀(りんじゅうぎょうぎ)に用いられた例があることが分かる。
繍仏でも、斜め向きだけでなく、本図のような正面向き独尊阿弥陀来迎像の作例が知られる。絵画と刺繍の阿弥陀来迎図を比較した時大きく異なるのは、絵画では鎌倉時代後期以降盛んとなる皆金色相表現が、繍仏では極めて少ない点である。こうした差異は、単に材料の違いによるのか、作られた場(宗派など)の違いを示すのか、検討する必要があろう。
(北澤菜月)
糸のみほとけー国宝 綴織當麻曼荼羅と繍仏-. 奈良国立博物館, 2018.7, p.279, no.100.
- D046972
- 2007/01/11
- 全図
- D046974
- 2007/01/11
- 阿弥陀如来上半身部分

修理前
- D027691
- 2001/06/12
- 全図

修理前
- D027693
- 2001/06/12
- 阿弥陀如来面相部分

修理前
- D027695
- 2001/06/12
- 阿弥陀如来部分(脚切れる)

修理前
- D027697
- 2001/06/12
- 阿弥陀如来脚部、雲部分(画下部1/2)
- A029166
- 2007/01/11
- 全図
- A029168
- 2007/01/11
- 阿弥陀如来上半身部分

修理前
- A240041
- 2001/06/12
- 全図

修理前
- A240043
- 2001/06/12
- 阿弥陀如来部分(脚切れる)

修理前
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- 2001/06/12
- 阿弥陀如来面相部分

修理前
- A240047
- 2001/06/12
- 阿弥陀如来脚部、雲部分(画下部1/2)
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| 収蔵品番号 | 1301-0 |
|---|---|
| 部 門 | 絵画 |
| 区 分 | 絵画 |
| 部門番号 | 絵257 |
| 伝 来 | 遍照光院旧蔵 |
| 銘 文 | 上巻絹墨書銘「阿彌陀尊像 琢摩筆 遍照光院頼任修復」、「此像者琢摩法眼之畫所也予常隨身之本尊也是則光明遍照十方世界念佛衆生攝取不捨金言誰不/忘之乎依之今加修複而寛文十戌年五月吉日遍照光院□八折負頼任【〈花押〉】」、箱蓋裏寄進銘「寛文十二年壬子三月吉日 寄進 住持信栄時」 |
| 文 献 | 糸のみほとけー国宝 綴織當麻曼荼羅と繍仏-. 奈良国立博物館, 2018.7, 319p.奈良国立博物館蔵品図版目録 仏教絵画篇. 奈良国立博物館, 2002, 169p. |

