京都の神護寺にかつて伝来した一切経のうちの一巻。巻題の首題下方に長方形朱印「神護寺」が捺される。『神護寺略記(じんごじりゃっき)』(鎌倉時代後期成立)に、経蔵(きょうぞう)に納められた三本の一切経(いっさいきょう)の筆頭として「当寺根本御経」と記されるのが、これに当たると考えられている。ただし、この時点ですでに一具の一切経ではなく取り合わせ経になっており、そのことは『神護寺最略記(じんごじさいりゃっき)』『神護寺規模殊勝之条々(じんごじきぼしゅしょうのじょうじょう)』等の史料からも窺える。本品と同じく「神護寺」の朱印が捺された紙本墨書経として、華厳経巻題二十九(五島美術館蔵)、大威徳陀羅尼経(だいいとくだらにきょう)巻第五(龍門文庫蔵)、聖善住意天子所問経(しょうぜんじゅういてんししょもんきょう)巻中(京都国立博物館蔵)、大宝積経(だいほうしゃくきょう)巻第八十九(大東急記念文庫蔵)などが知られており、平安時代初期に書写された僚巻(りょうかん)と思われる。この一切経の全貌は長く明らかではなかったが、近年の研究で経典名を書き上げた目録の存在が確認され、この一切経が当初は神護寺五大堂(ごだいどう)に奉納されたものであることが判明した。『大方等大集経菩薩念仏三昧分』は、菩薩の重要な修行の一つである念仏三昧について詳しく記した経典。全十巻。隋の達磨笈多(だつまぎゅうた)の訳。
(野尻忠)
まぼろしの久能字経に出会う 平安古経展, 2015, p.136
だいほうどうだいしゅうきょうぼさつねんぶつざんまいぶん かんだい9 大方等大集経菩薩念仏三昧分 巻第九
1巻
紙本 墨書 巻子
縦26.9 長789.5
書跡
平安時代 9世紀

- D018273

- D019331
- 1997/12/15
- 巻首

- D019333
- 1997/12/15
- 巻末

- D018273
- 1997/05/07
- 巻首

- D018275
- 1997/05/07
- 巻末

- A225249
- 1997/12/15
- 巻首

- A225250
- 1997/12/15
- 巻末

- A219158
- 1997/05/07
- 巻首

- A219160
- 1997/05/07
- 巻末

- A212994
- 1995/02/03
- 巻首

- A212995
- 1995/02/03
- 巻末

- A212996
- 1995/02/03
- 巻首「神護寺」朱印

- A212997
- 1995/02/03
- 巻末「聖善寺」朱印

- A209647
- 1992/07/29
- 巻首

- A209649
- 1992/07/29
- 巻末
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収蔵品番号 | 1216-0 |
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部 門 | 書跡 |
区 分 | 書跡 |
部門番号 | 書108 |
伝 来 | 神護寺(京都)伝来 |
銘 文 | 首題下朱長方印一顆「神護寺」、巻尾朱長方印一顆「聖善寺」 |
文 献 | まぼろしの久能寺経に出会う : 平安古経展. 奈良国立博物館, 2015, 172p.奈良国立博物館蔵品図版目録 追録. 奈良国立博物館, 1999, 108p. |