5個の小壺を肩部に付けた壺部と3個の三角形の透かしを穿った脚部からなる須恵器である。壺部は頸部には櫛描き波状文と斜線文を施し、肩部には5個の小壺をめぐらし、その間には人物文と動物文とを線刻している。線刻像には両手をあげ刀剣を帯びた人物、騎馬人物、鹿などが表されている。色調は全体に灰白色を呈し、内部は黄白色で、頸部の一部には黒色を呈する自然釉がみられ、また焼成の際の焼き歪みも認められる。本例は他の須恵器には類をみない線刻画をもち、一種の狩猟の場面を表したものと推定され、極めて貴重な資料である。出土地は愛媛県北条市と伝えられるが、器形は愛媛県地方の古墳出土品にその類例がみられるので、その可能性が高いと思われる。6世紀中ごろの古墳時代後期の装飾須恵器の好例である。
(井口喜晴)
奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, p.280, no.12.
じんぶつせんこくそうしょくつきこもちつぼすえき(でんえひめけんほうじょうししゅつど) 人物線刻装飾付子持壺須恵器(伝愛媛県北条市出土)
1個
土製
高28.0 口径18.5
古墳時代 6世紀

- H014343

- H014343
- 2011/12/19
- 全体(小壺が4つ見える状態)

- H014346
- 2011/12/19
- 全体(小壺が5つ見える状態)

- H014348
- 2011/12/19
- 壺線刻部分(両手を挙げ刀剣を帯びた人物)

- H014350
- 2011/12/19
- 壺線刻部分(騎馬人物)

- H014352
- 2011/12/19
- 壺線刻部分(両手を挙げる人物と鹿)

- H014354
- 2011/12/19
- 壺線刻部分(両手を挙げる人物と小動物)

- H014356
- 2011/12/19
- 壺線刻部分(鹿と小動物)

- D017696
- 1997/03/13
- 全体(小壺が5つ見える状態)

- A025000
- 1997/03/13
- 全体(小壺が5つ見える状態)

- A025885
- 全体(小壺が4つ見える状態)

- A025886
- 全体(小壺が5つ見える状態)

- A025888
- 寝かせた状態(壺上部より見た状態)

- A025889
- 全体(小壺が4つ見える状態)

- A025890
- 全体(斜め上より、小壺が4つ見える状態)

- A025891
- 全体(斜め上より、小壺が3つ見える状態)

- A025892
- 壺線刻部分(両手を挙げる人物と小動物)

- A025893
- 壺線刻部分アップ1(両手を挙げる人物と小動物)

- A025894
- 壺線刻部分アップ2(両手を挙げる人物と小動物)

- A025895
- 壺線刻部分アップ3(両手を挙げる人物と小動物)

- A025896
- 壺線刻部分(鹿と小動物)

- A025897
- 壺線刻部分アップ1(鹿と小動物)

- A025898
- 壺線刻部分アップ2(鹿と小動物)

- A025899
- 壺線刻部分アップ3(鹿と小動物)

- A025900
- 壺線刻部分(両手を挙げ刀剣を帯びた人物)

- A025901
- 壺線刻部分アップ1(両手を挙げ刀剣を帯びた人物)

- A025902
- 壺線刻部分アップ2(両手を挙げ刀剣を帯びた人物)

- A025903
- 壺線刻部分(騎馬人物)

- A025904
- 壺線刻部分アップ1(騎馬人物)

- A025905
- 壺線刻部分アップ2(騎馬人物)

- A025906
- 壺線刻部分(両手を挙げる人物と鹿)

- A025907
- 壺線刻部分アップ1(両手を挙げる人物と鹿)

- A025908
- 壺線刻部分アップ2(両手を挙げる人物と鹿)

- A025909
- 壺線刻部分アップ3(両手を挙げる人物と鹿)

- A025910
- 壺線刻部分アップ4(両手を挙げる人物と鹿)
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収蔵品番号 | 1195-2 |
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部 門 | 考古 |
部門番号 | 考317 |
伝 来 | 伝愛媛県北条市出土 |
文 献 |