宣字座に腰掛け、薄衣をまとった如来像を中心に、左右には合掌、やや腰をひねって蓮華座に立つ脇侍が配される。頂部の尖った外形は中国・唐の塼仏に倣ったもので、日本の最古段階の大型塼仏に認められる。
音声ガイド
橘寺は聖徳太子建立の七寺の一つで、太子生誕の地との伝承を持つ。創建年代は詳らかでないものの、発掘調査で出土した瓦の年代から、創建は七世紀前半、伽藍の本格的な整備は七世紀後半と推測されている。橘寺からは大量の塼仏が出土しており、外形には方形と、上端を尖らせる火頭形の二種類がある。本品は後者であり、椅子に腰掛ける中尊と、その左右には脇侍(わきじ)が表わされる。塼仏に表される三尊の背景には樹木や飛天をあしらうことが一般的であるが、本品には火焰(かえん)が描かれており、特徴的である。外形の歪(ゆが)みは、火災時の被熱によるものであろう。
(中川あや)
奈良博三昧―至高の仏教美術コレクション―. 奈良国立博物館. 2021.7, p.245, no.15.

