肩の張った球形の胴部を有する水瓶。奈良時代の大安寺に「石榴形(ざくろがた)」水瓶があったという記録が見えるが、これは本品のような形状であったと推定されている。
題箋
胴部の肩が張った王子形水瓶で、この形式は蕪形(かぶらがた)水瓶と呼ばれる。高台は高く外反りが強い。胴は肩を強く張り、頸との境目を紐状に突出させている。頸はのびやかで中ほどが細く締まり、かつてはこの上に蓋を載せていたと考えられる。蕪形水瓶が文献に初めて登場するのは天平十九年(七四七)に著された『大安寺縁起并流記資材帳』に見える「柘榴(ざくろ)瓶」であると言われる。蕪形水瓶は唐代の仏像彫刻や唐三彩に類例が見られるように、唐代特有の器形であると考えられる。本品は全体的に破綻のない緊張感のある姿を見せており、中国・唐代の制作と考えるのが妥当であろう。
(内藤栄)
奈良国立博物館の名宝―一世紀の軌跡―,奈良国立博物館.1997.4,p.287.

