扉に不動明王(ふどうみょうおう)及び毘沙門天(びしゃもんてん)像を描いた宮殿(くうでん)形の舎利厨子。羽目板に金銅製の火焔(かえん)宝珠(ほうじゅ)を嵌装(がんそう)し、内部に舎利三粒を入れた水晶製の五輪塔(ごりんとう)を納置する。小品ながら、入念な舎利荘厳(しょうごん)の方法が知られる遺品である。
題箋
木製黒漆塗宮殿形の小型舎利厨子で、刳り形基壇上に縦連子の羽目を施した壇上積式の基台に観音開き扉を備えた軸部を置き、頂に別造の屋蓋をのせる。内壁は、群青地として下半に卍繋ぎ文の切金を施し、中央に円相を透かして水晶製の窓を嵌め、金銅板打ち出しの火焔宝珠形を装着する。円相部には、さらに仏舎利三粒を奉籠する水晶製の五輪塔を安置している。扉絵は、左が不動明王像、右が毘沙門天像で、彩色に金泥をまじえて描く。水晶五輪塔の小型ながらも整った形姿は、鎌倉時代の特徴を示しており、おそらく由緒のあるこの五輪塔を奉安すべく本厨子が造立されたのであろう。嵌装舎利容器の中に、さらに別の舎利容器を納入した珍しい遺品である。
厨子と扉絵, 1990, p.11

