特別展

特別展

第75回 正倉院展

 

 正倉院宝物は、東大寺の重要な資財を保管する倉であった正倉院正倉に伝来した宝物群です。正倉院展では、およそ9000件にも上る正倉院宝物の中から毎年60件前後が公開されます。75回目の開催となる本年も、調度品、楽器、服飾品、仏具、文書といった正倉院宝物の全体像がうかがえるラインナップで、宝物の魅力を余すことなく伝えます。

 正倉院宝物の歴史は、天平勝宝8歳(756)6月21日、(しょう)()(てん)(のう)の四十九日である七七忌に際して(こう)(みょう)(こう)(ごう)が天皇遺愛の品を大仏に献納したことにはじまります。献納された品々は、そのときに作成された献納品のリスト『(こっ)()(ちん)(ぽう)(ちょう)』に記載され、正倉院宝物の中核に位置付けられています。本年はその中から、『国家珍宝帳』の筆頭に記載される「()(じょう)()(のう)(じゅ)()(しょくの)()()」(刺し子縫いの袈裟)をはじめ、「(まん)(ぱいの)(はっ)(かく)(きょう)」(無地の花形鏡)や「(とり)(くさ)(きょう)(けちの)(びょう)()」(板じめ染めの屛風)などが出陳されます。中でも袈裟は、聖武天皇の仏教への篤い信仰を象徴する品として、正倉院宝物を代表する屈指の名宝です。

 正倉院には、奈良時代に宮廷や寺院内で使われた楽器や調度品のほか、貴人たちのアクセサリーなども伝わっています。「(かえで)()(おう)(ぞめ)()(でんの)(そうの)()()」(螺鈿飾りの四絃琵琶)は、槽に施されたきらびやかな螺鈿の装飾が目を惹く一方、(ばち)()けには中国・盛唐期の画風にもとづく山水画が描かれ、奈良時代の異国趣味を濃厚に示しています。「(へい)()(でん)(はいの)(えん)(きょう)」(螺鈿飾りの鏡)や「(ぎん)(へい)(だつの)(かがみ)(ばこ)」(鏡の箱)、「(はん)(さいの)(つか)(うるしの)(さや)(おう)(ごん)(かずら)(がた)(しゅ)(ぎょく)(かざりの)(とう)()」(腰帯から下げた小刀)といった品々にも、螺鈿・金銀・珠玉類など高級な素材が惜しげもなく使われています。これらの宝物を通して、奈良時代の貴人たちの異国情緒あふれる華やかな暮らしぶりが垣間見られます。

 東大寺など大寺院を飾った多彩な仏具類も見逃せません。「(へき)()(きん)(ぎん)(えの)(はこ)」(花鳥文様の脚付き箱)は明るい青の色彩が目にも鮮やかな品ですが、一方で「(こく)(ちょう)()(とう)(きん)(ぎん)(えの)(はな)(がた)(ごう)()」(花形のふたもの)といった花葉の生き生きとした彫刻に目を見張る品もあり、正倉院の仏具の多様な装飾表現をご覧いただくことができます。また、東大寺初代(べっ)(とう)をつとめた(ろう)(べん)(689~773)の1250年御遠忌にあたる本年、良弁自ら署名した文書を含む「(しょう)(そう)(いん)()(もん)(じょ)(せい)(しゅう) 第七巻」((しょう)(そう)()(ろう)(べん)(ちょう)ほか)が出陳されることも注目されます。そのほか、道教思想にもとづく仙薬(せんやく)の容器ともいわれる「(せい)(はん)(せきの)(べつ)(ごう)()」(スッポン形のふたもの)などを通じ、奈良時代の信仰世界の奥行きと広がりにも触れていただけます。

 正倉院では、長い歴史の中で残片となったものも大切に守り継がれてきました。正倉院事務所による最新の研究成果では、「(うるし)(ろっ)(かくの)()()(ざん)(けつ)」(厨子の部材)のそれぞれのパーツの特定が試みられ、長六角形の平面をもつ奈良時代の厨子の当初の姿が浮かび上がってきました。本年は、こうした厨子や正倉院の(じん)(かい)(もん)(じょ)の復元研究の成果を通し、宝物が織り成す歴史のロマンを体感していただきたいと思います。

南倉 平螺鈿背円鏡

会 期

令和5年(2023)10月28日(土)~11月13日(月)

会 場

奈良国立博物館 東新館・西新館

休館日

会期中無休

開館時間

午前8時~午後6時 ※例年とは異なります
金・土・日曜日、祝日は午後8時まで
※入館は閉館の60分前まで

観覧料金(日時指定券)

観覧料金

観覧には原則、事前予約制の「日時指定券」の購入が必要です(無料対象の方を除く)。
予定販売枚数に達し次第、販売を終了します。

当日各時間枠開始時刻まで販売いたします。

奈良国立博物館観覧券売場での販売はありません。

一般2,000円
高大生1,500円
小中生500円
キャンパスメンバーズ学生400円
レイト割 一般1,500円
レイト割 高大生1,000円
レイト割 小中生無料
研究員レクチャー付き観覧券3,000円
※詳細は下記
VR「正倉院 時を超える想い」
特別上演会付き観覧券
(主催:奈良国立博物館、凸版印刷)
3,000円
※詳細は下記
  • レイト割は月~木曜日は午後4時以降、金・土・日曜日、祝日は午後5時以降の「日時指定券」に適用されます。
  • 障害者手帳またはミライロID(スマートフォン向け障害者手帳アプリ)をお持ちの方(介護者1名を含む)、未就学児、レイト割(小中生)、奈良博メンバーシップ・プレミアムカード会員の方(1回目及び2回目の観覧)、賛助会会員(奈良博、東博[シルバー会員を除く]、九博)、清風会会員(京博)、特別支援者は無料。
  • 無料対象の方は、「日時指定券」の購入は不要です。証明書等をご提示ください(小中生以下は不要)。
  • キャンパスメンバーズ会員の学生は、奈良国立博物館と連携する特定の大学等に属する学生のみが対象となります。当日会場入り口で学生証の提示が必要です。提示いただけない場合には、差額をお支払いいただきます。キャンパスメンバーズ会員校等は、当館ウェブページ(https://www.narahaku.go.jp/members/campus/)でご確認ください。
    キャンパスメンバーズの学生が誤って通常料金で「日時指定券」を購入した場合も、払い戻し等はできませんのでご注意ください。
販売開始日時 10月5日(木) 午前10時
  • ローソンチケット[Lコード:59995]インターネット(https://l-tike.com/75shosoin-ten/)、ローソン各店舗、ミニストップ各店舗
  • CNプレイガイド[Cコード※入館開始時間ごと:①午前8~11時 262-256、②正午~午後4時 262-257、③午後4時30分以降 262-258]
    [電話(自動音声)0570-08-9920による受付のみ]
  • 展覧会オンラインチケットhttps://www.e-tix.jp/shosoin-ten/  ※オンラインチケットご利用ガイドはこちら

企画チケット

研究員レクチャー付き観覧券

料金  :3,000円
指定日時:令和5年(2023)10月30日(月)、11月8日(水)、13日(月)
     【1】午前10時~ 【2】午後3時~
定員  :各回180名
場所  :奈良国立博物館 講堂 ※レクチャー(約30分)終了後、正倉院展を自由観覧
販売期間:令和5年(2023)10月5日(木)~10月25日(水) ※ローソンチケットのみで販売

VR「正倉院 時を超える想い」特別上演会付き観覧券

料金  :3,000円
指定日時:令和5年(2023)11月2日(木)、3日(金・祝)
     【1】午前11時~ 【2】午後1時~ 【3】午後2時~ 【4】午後3時~
定員  :各回180人
場所  :奈良国立博物館 講堂 ※上演会(約30分)終了後、展覧会を自由観覧
主催  :奈良国立博物館、凸版印刷
協力  :読売新聞社
販売期間:令和5年(2023)10月5日(木)~10月25日(水) ※ローソンチケットのみで販売

VR「正倉院 時を超える想い」特別上演会について

1260年あまりの時を超え、華やかな天平文化を今に伝える正倉院。現存する木造の宝物庫としては世界最古。9000件にもおよぶ宝物がそこに収められ、人々の知恵によって守り伝えられてきました。
本シアターでは、この正倉院(校倉)を最新のデジタル技術によってVR映像で再現し、その驚異の構造や秘められた謎を解き明かします。さらに正倉院の歴史や、宝物保存の技術や制度について、美しい映像にあわせ、プロのナビゲーターがライブで解説いたします。
ワンランク上の正倉院展体験を、どうぞお楽しみください。

チケット購入方法

入館時間区分

日時指定
月~木曜日
1.午前8時~9時
2.午前8時30分~9時30分
3.午前9時~10時
4.午前9時30分~10時30分
5.午前10時~11時
6.午前10時30分~11時30分
7.午前11時~11時45分
8.正午~午後1時
9.午後0時30分~1時30分
10.午後1時~2時
11.午後1時30分~2時30分
12.午後2時~2時45分
13.午後3時~4時
14.午後3時30分~4時30分
15.午後4時~5時 ※レイト割対象
金・土・日曜日、祝日
1.午前8時~9時
2.午前8時30分~9時30分
3.午前9時~10時
4.午前9時30分~10時30分
5.午前10時~11時
6.午前10時30分~11時30分
7.午前11時~11時45分
8.正午~午後1時
9.午後0時30分~1時30分
10.午後1時~2時
11.午後1時30分~2時30分
12.午後2時~2時45分
13.午後3時~4時
14.午後3時30分~4時30分
15.午後4時~5時
16.午後4時30分~5時30分
17.午後5時~5時45分 ※レイト割対象
18.午後6時~7時 ※レイト割対象

入館・観覧に関して

  • 本展の観覧券で、名品展(なら仏像館・青銅器館)もご覧になれます。
  • 指定された日時以外の入館はできません。
  • 館内の状況により、指定された入館時間より早くご案内する場合や、お待ちいただく場合があります。
  • 各時間枠開始直後は、混雑が予想されますので、少し遅れてのご入館をおすすめいたします。
  • 本展は入替制ではありません。
  • 「日時指定券」の変更、キャンセル、払い戻し、再発行はいたしません。
  • 当館に駐車場はございません。お車でのご来館はご遠慮願います。

出陳宝物

59件(北倉9件、中倉24件、南倉23件、聖語蔵3件)
うち6件は初出陳

公開講座

①  10月28日(土) 「宝物に込められた祈り―転輪聖王としての聖武天皇―」
  三田 覚之(奈良国立博物館学芸部主任研究員)
 
②    11月4日(土) 「正倉院文書の復原―いわゆる「常陸国戸籍」について―」
  三野 拓也氏(宮内庁正倉院事務所保存課調査室員)
 
    11月11日(土) 「正倉院の箱を観る」
  伊藤 旭人(奈良国立博物館学芸部研究員)
  • 時間:午後1時30分~3時(午後1時開場)
  • 会場:奈良国立博物館 講堂
  • 定員:各180名(事前申込抽選制) 座席自由
  • 料金:聴講無料(展覧会観覧券等の提示は不要です)
  • 応募期間:令和5年(2023)9月27日(水)~10月10日(火)
  • 応募方法:当館ウェブサイト「講座・催し物」→「公開講座」申込フォームより必要事項をご入力の上、お申し込みください。
参加証の送付

当選者には、10月16日(月)までに参加証(当選メール)をお送りいたします。メールの画面、または印刷したものを当日必ずご提示ください。

ご注意

※今回の応募方法は、WEB申し込みに限ります。
※応募はお1人様1回でお願いいたします。
※ご本人様以外の入場はできません。
※お預かりした個人情報は、本公開講座の連絡のみに使用します。
※参加証で正倉院展展示室に入場することはできません。
※正倉院展展示室への入場は時間指定制です。講座の受講に関わらず、指定時間外の入場はできませんので、予めご注意ください。

よくある質問

正倉院展について「よくある質問」をまとめましたので、ご参考にしてください。

プレスリリース

広報用画像のお申し込みについて

主催

奈良国立博物館

特別協力

読売新聞社

協賛

岩谷産業、印傳屋上原勇七、SGC、NTT西日本、関西電気保安協会、京都美術工芸大学、近畿日本鉄道、JR東海、JR西日本、シオノギヘルスケア、ダイキン工業、ダイセル、大和ハウス工業、中西金属工業、丸一鋼管、大和農園

協力

NHK奈良放送局、奈良交通、奈良テレビ放送、日本香堂、仏教美術協会、読売テレビ

公式サイト

チラシ

主な出陳品

北倉1 九条刺納樹皮色袈裟
[くじょうしのうじゅひしょくのけさ]

(刺し子縫いの袈裟) 1領
[出陳番号1]
前回出陳年=平成11年(1999)
幅253 縦147

 聖武(しょうむ)天皇遺愛(いあい)の品を東大寺大仏に納めた際の目録『国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)』の筆頭に掲げられた袈裟。その存在は仏教を篤く信奉した聖武天皇を象徴しており、まさに天平期における国家最高の宝物と言える。「刺納」とは刺し子縫いのことで、黄や緑、縹(はなだ)や赤紫に染められた絹の断片が細かに縫われている。これはぼろ裂を集めて袈裟にする「糞掃衣(ふんぞうえ)」の伝統に則ったもので、あたかも樹木の皮のような風合いを見せるため、特に「樹皮色」と称された。

北倉16 犀角杯
[さいかくのつき]

(サイの角のさかづき) 1口 
[出陳番号6]
前回出陳年=平成24年(2012)
長径15.5 短径8.4 高5.0 重76.8

 サイの角の内部を刳り抜いて作られたさかづき。茶褐色に白い斑(ふ)が混じる色調から、インドイッカクサイの角を用いていると推定されている。素材の質感を活かした美しい器肌や、口縁部(こうえんぶ)を花弁形に作った優美な器形が賞される。なお、『国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)』には2口の犀角杯が記載されるが、これらは平安時代に出蔵されたことが「雑物出入継文(ざつもつしゅつにゅうけいもん)」[出陳番号4]からわかり、本品とは別物と考えられている。

北倉44 鳥草夾纈屛風 第3・4扇
[とりくさきょうけちのびょうぶ]

(板じめ染めの屛風) 2扇
[出陳番号9]
前回出陳年=[第3扇]平成2年(1990)・[第4扇]平成22年(2010)
[左:第3扇]長149.0 幅54.0 本地長143.0 幅47.0
[右:第4扇]長148.7 幅56.0 本地長142.4 幅48.7

 『国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)』に記載される10組の「鳥草夾纈屛風」の一部にあたるもの。いずれも草花と尾長鳥を大きく表し、上方に遠山や蝶、下方に草花・鳥・蝶や岩を配す。2扇は表現が異なり、それぞれ別の屛風をなしていたとみられる。夾纈は、図柄を彫り出した板で裂地(きれじ)を挟んで染め上げる技法であり、本品では二つ折りの裂地を染めることで左右対称の図様を表している。中国・盛唐期(せいとうき)に流行した花鳥画屛風の姿を伝える貴重な品である。

中倉15 正倉院古文書正集 第七巻〔少僧都良弁牒、法師道鏡牒ほか〕
[しょうそういんこもんじょせいしゅう〔しょうそうずろうべんちょう、ほうしどうきょうちょうほか〕]

(良弁や道鏡らにまつわる文書) 1巻
[出陳番号37]
前回出陳年=平成22年(2010)

 9通の文書を継いで1巻としたもので、東大寺初代別当(べっとう)となった良弁(ろうべん)(689~773)が署名する文書や、道鏡(どうきょう)(?~772)の自筆文書が含まれる。良弁の署名は堂々とした筆運びに風格が感じられる。道鏡は称徳(しょうとく)天皇に重用された僧侶で、法王(ほうおう)という史上例のない高い地位を与えられ、天皇の仏教政策を推し進めた。写経事業に関する命令を自筆の文書で伝えており、力強い筆跡が目を引く。

中倉50 青斑石鼈合子
[せいはんせきのべつごうす]

(スッポン形のふたもの) 1合
[出陳番号41]
前回出陳年=平成22年(2010)
長15.0 高3.5

 鼈(べつ)(スッポン)の形をした合子(ごうす)。蛇紋岩(じゃもんがん)製で鼈の形を彫り出して蓋として、腹の部分に八稜形(はちりょうがた)の皿が収まるようになっている。鼈の両眼は深紅色の琥珀(こはく)をはめ込んでいる。突き出た口先や爪の長い四肢、柔らかみのある甲羅の表現は写実的で、動物彫刻としても優れている。甲羅には、北斗七星を反転した形が金と銀で描かれている。鼈のような亀類や北斗七星は古来より神聖視されることから、仙薬(せんやく)を入れる容器だったとする説もある。

中倉131 斑犀把漆鞘黄金葛形珠玉荘刀子
[はんさいのつかうるしのさやおうごんかずらがたしゅぎょくかざりのとうす]

(腰帯から下げた小刀) 1口
[出陳番号19]
前回出陳年=平成5年(1993)
全長38.5 把長15.9 鞘長27.2 身長15.8 茎長5.1

 刀子は、紙を切ったり、木簡(もっかん)に書かれた文字を削り取ったりする小刀であるが、腰帯(こしおび)から下げて身を飾る佩飾品(はいしょくひん)でもあった。正倉院には聖武(しょうむ)天皇のご遺愛品をはじめ、貴人が東大寺に献納(けんのう)したとみられる刀子が数多く伝わっている。本品はその中でも大型に属する品で、把(つか)には犀角(さいかく)を用い、鞘(さや)は木製で漆塗(うるしぬり)を施し、把や鞘は金製の金具で飾られる。把は屈曲せず、刀身は基部が広がる形状を呈するなど、奈良時代の一般的な刀子とは異なる特色をもつ。

中倉151 碧地金銀絵箱
[へきじきんぎんえのはこ]

(花鳥文様の脚付き箱) 1合
[出陳番号28]
前回出陳年=平成23年(2011)
縦27.9 横17.5 高10.6

 床脚(しょうきゃく)を付け、箱内に内張(うちばり)(嚫)を付した箱。外面は明るい碧色(青色)の地に金泥と銀泥で花枝をくわえた鳥や蝶を描き、蘇芳色(暗い紫色)の縁に金色の小花文をあしらう。内張には花や鳥を織り表した錦(にしき)を用いる。華やかに装飾された本品は、仏への献物(けんもつ)を納めるべく用いられたのであろう。底裏に「千手堂」と墨書(ぼくしょ)があり、東大寺千手堂(せんじゅどう)(現存せず)のものであったことがわかる。正倉院に伝わる本品によって、失われた堂宇の荘厳をうかがい知ることができる。

中倉204 漆六角厨子基趾椊
[うるしろっかくのずしのきしほぞ]

(厨子の部材) 1枚
[出陳番号25-2]
初出陳
現存部の復元高155 屋根復元幅220 框幅164 柱高131

 厨子は仏像や経典などを安置するための扉付きの仏具で、本品は奈良時代に製作された厨子の部材が伝わったもの。今回出陳される漆金銀絵仏龕扉(うるしきんぎんえのぶつがんのとびら)[出陳番号26]と本来は一連の部材であり、平面が長六角形で、屋根が付いた形の厨子を構成していた。正倉院事務所による最新の研究成果によって、屋根や軒の形状の特徴が明らかになるなど、厨子の当初の姿が一層明瞭な形で復元された。遺例の乏しい奈良時代の厨子の形態を知る上で、注目される品である。

南倉36 刻彫梧桐金銀絵花形合子
[こくちょうごとうきんぎんえのはながたごうす]

(花形のふたもの) 1合
[出陳番号32]
前回出陳年=平成17年(2005)
長径31.9 短径18.8 総高11.5

 散孔材(さんこうざい)の一木を刳(く)り抜いて作られた長楕円形(ちょうだえんけい)の蓋(ふた)付き容器。蓋・身ともに宝相華(ほうそうげ)を立体的に表し、細部を金泥(きんでい)や銀泥(ぎんでい)で描く。同形の合子は正倉院に5合分が伝わるが、蓋・身が揃うものは本品のみ。身の背面中央に「戒壇」の墨書銘があり、東大寺戒壇院(かいだんいん)に伝わったことが分かる。かつては環孔材(かんこうざい)の梧桐(アオギリ)製と考えられていたが、昭和の木材材質調査において、樹種は不明ながら環孔材ではないことが判明している。

南倉54 紫檀小架
[したんのしょうか]

(台付きの架(か)け具) 1基
[出陳番号33]
前回出陳年=平成24年(2012)
高46.3 台長29.3

 小型の架け具。横長六角形で床脚(しょうきゃく)の付いた基台の上にシタン製の鳥居形(とりいがた)を立て、鳥居形の柱の前後に上下各一対の象牙(ぞうげ)製の鉤形(かぎがた)突起を取り付ける。基台はカキ材製で天板上面の中央部分にシタンの板を貼り、周囲に金箔を押した上に薄い玳瑁(たいまい)を貼り重ねる。基台の側面は象牙の界線で十の区画に分け、各区画内には紺・紅で染め分けて四弁花文(しべんかもん)を表した象牙の板を置き、周囲を木画(もくが)で囲むなど、高級材を贅沢に用いた逸品である。用途については筆置きや鏡台のほか、掛軸など巻物状のものを架けた可能性が指摘される。

南倉70 平螺鈿背円鏡
[へいらでんはいのえんきょう]

(螺鈿飾りの鏡) 1面
[出陳番号23]
前回出陳年=平成21年(2009)
径39.3 縁厚0.9 重5410

 背面を螺鈿(貝殻片で文様を表す装飾技法)によって華やかに飾った大型の銅鏡。ヤコウガイと琥(こ)珀(はく)で花文様を表し、地の部分は細かく砕いたトルコ石を散りばめるなど、大変豪華なつくりである。正倉院には螺鈿飾りの鏡が北倉・南倉合わせて9面伝わるが、本鏡はその中でも大型で、デザイン性も高い優品。唐(中国)製と推定され、各地の珍しい材を用い、高度な技術を尽くして仕上げられた、歴史上最高峰の鏡の一つ。

南倉101 楓蘇芳染螺鈿槽琵琶
[かえですおうぞめらでんのそうのびわ]

(螺鈿飾りの四絃琵琶) 1面
[出陳番号10]
前回出陳年=平成16年(2004)
全長97.0 最大幅40.5

 美しく装飾された琵琶で、「東大寺」との刻銘がある。槽(背面)はカエデ材を蘇芳色(暗い紫色)に染め、白色の貝や玳瑁(たいまい)を切り抜いて嵌め込み、宝相華や鳥、雲の文様を表して飾る。撥(ばち)で絃(げん)を弾く部分には動物の皮が貼られ、白色を塗り込めた上で絵画が描かれる。図柄は、奥行きある風景の前方に、白象の上で奏楽し舞踊する胡人を表すもので、盛唐期絵画表現を示す伝世品として高く評価される。

南倉101 楓蘇芳染螺鈿槽琵琶(捍撥部分) 騎象奏楽図
[かえですおうぞめらでんのそうのびわ(かんばちぶぶん) きぞうそうがくず]

(螺鈿飾りの四絃琵琶) 1面
[出陳番号10]
前回出陳年=平成16年(2004)
全長97.0 最大幅40.5

南倉180 赤地鴛鴦唐草文錦大幡脚端飾
[あかじおしどりからくさもんにしきのだいばんのきゃくたんかざり]

(幡の下端につけた飾り) 1枚
[出陳番号46]
前回出陳年=平成24年(2012)
縦39.7 横46.3

 天平勝宝9歳(757)、前年に崩御(ほうぎょ)した聖武(しょうむ)天皇の一周忌斎会(さいえ)が営まれた。本作はこの儀式に用いられた灌頂幡(かんじょうばん)という旗から下がる幡脚の下端につけられていた飾りである。この灌頂幡は復元すると全長約15メートルという長大なもので、本品は幡脚の端につけられた飾りと言っても実に大きい。正倉院に伝わる脚端飾には様々な錦がふんだんに使われており、この赤地の錦では蓮華唐草(れんげからくさ)に乗る一対のオシドリが華麗に表されている。

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