特別展
特別展
名画の殿堂 藤田美術館展
―傳三郎のまなざし―
本展は2019年春に開催した特別展「国宝の殿堂 藤田美術館展」の続編で、今回は藤田美術館の所蔵品のなかから絵画作品を中心に構成し、様々な時代の名品を一堂にご紹介いたします。
明治時代に活躍した大阪の実業家であった藤田傳三郎(1841~1912)の蒐集にはじまる藤田美術館の絵画コレクションには、日本絵画史を通史的に把握するために十分な質と量の作品が所蔵されています。本展ではコレクションの礎を築いた藤田傳三郎がどのような意識をもって美術品蒐集を行ったかに注目しつつ、各時代の名品を展示いたします。
また本展では、全74件の展示作品中、初公開作品が23件、藤田美術館外での公開が初めてとなる作品が19件を数えます。これらは、近年藤田美術館と奈良国立博物館が共同で行った所蔵絵画の調査によって確認された隠れた名品群です。本展では、国宝や重要文化財に指定されるコレクションを代表する絵画作品とともに、こうした隠れた名品をご覧いただきます。
2022年4月に控えた藤田美術館のリニューアルオープンを前に、コレクションの魅力を一層深く味わっていただく機会となれば幸いです。

(大阪 藤田美術館)
会 期
令和3年(2021)12月10日(金)~令和4年(2022)1月23日(日)
会 場
奈良国立博物館 西新館
休館日
毎週月曜日及び年末年始(12月28日~1月1日)、1月11日(火)は休館
※ただし1月3日(月)・10日(月・祝)は開館
開館時間
9時30分~17時
※入場は閉館の30分前まで
観覧料金
一般 | 1,200円 |
高校生・大学生 | 1,000円 |
- 前売券はありません。
- 奈良国立博物館キャンパスメンバーズ会員(学生)の方は400円、同(教職員)の方は1,100円となります(要証明)。参加校など詳細はこちらをご確認ください。
- 障害者手帳またはミライロID(スマートフォン向け障害者手帳アプリ)をお持ちの方(介護者1名を含む)、奈良博プレミアムカード会員の方(1回目及び2回目の観覧)は無料です(要証明)。
- この料金で名品展(なら仏像館・青銅器館)もご観覧いただけます。
出陳品
展示件数74件 ※うち23件は初公開
公開講座
講座の聴講には事前の申し込みが必要です。
ウェブサイト「ならはく教育普及室」内「公開講座」ページの申込フォームより必要事項を入力の上、お申し込みください。
令和3年(2021)12月11日(土)「藤田家伝来の唐絵―中国絵画と中世日本水墨画」
講師:板倉 聖哲氏(東京大学東洋文化研究所教授)
時間 | 午後1時30分~3時(午後1時開場) |
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会場 | 当館講堂 |
定員 | 90名(事前申込先着順) |
申込方法 | ウェブサイト「ならはく教育普及室」内「公開講座」ページの申込フォームより必要事項を入力の上、お申し込みください(web申込のみとなります)。 |
受付期間 | 定員に達したため受付を終了しました。 |
- 聴講無料(展覧会観覧券等の提示は不要です)。
- 聴講には事前申込が必要です(当日申込でのご参加はできません)。
- 入場の際には、受付完了メール画面をご提示ください。
- 応募はお1人様1回でお願いいたします。
- 定員に達し次第締め切りとさせていただきます。
グッズ
本展覧会のグッズは当館地下のミュージアムショップにて販売中です。


図録(セット販売)
本展覧会の開催期間中、下記の図録をセットでお求めの場合、当館ミュージアムショップの店頭限定で特別価格の3,000円で販売いたします(通常価格4,340円)。
※特別価格につき各種割引には対応しておりません。ご了承ください。
- 「名画の殿堂 藤田美術館展」2021年(2,000円)
- 「国宝の殿堂 藤田美術館展」2019年(2,340円)
主 催
奈良国立博物館、朝日新聞社、NHK奈良放送局、NHKエンタープライズ近畿
特別協力
藤田美術館
協 賛
大成建設、ライブアートブックス
協 力
Osaka Metro、日本香堂、仏教美術協会
チラシ
動画配信(ニコニコ美術館)
奈良国立博物館 特別展「名画の殿堂 藤田美術館展―傳三郎のまなざし―」を巡ろう
日時 | 2021年12月10日(金)19時 |
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会場 | 当館から生中継で配信。タイムシフト配信中。 |
出演者 | 板倉聖哲(東京大学東洋文化研究所教授) 藤田清(藤田美術館館長) 中野慎之(文化庁 文化財第一課絵画部門文化財調査官) 谷口耕生(奈良国立博物館 学芸部教育室長) 橋本麻里(ライター・エディター、公益財団法人永青文庫副館長) |
主な出陳品

[ふじたでんざぶろうざぞう]
木造 素地
明治時代~大正時代(20世紀)
初公開
おそらく現存する唯一の藤田傳三郎の肖像彫刻。広葉樹の一材から彫り出し内刳(うちぐり)はなく、素地(きじ)仕上げとする。顔の皺(しわ)まで克明に表現され、傳三郎の肖像写真と比べても風格がある。伝来・作者は不詳。

[おおじしず]
絹本著色
明治35年(1902)頃
京都画壇の巨匠・竹内栖鳳(たけうちせいほう)の代表作。明治33~34年の渡欧後にライオンの絵が評判となった栖鳳が、明治37年に開催された米国・セントルイス万国博覧会に出品する刺繡壁掛の下絵として描いたものと指摘される。日本画の技法を用いて金地を背景に堂々としたライオンの姿を描く、藤田美術館の近代絵画を代表する傑作。

[げんじょうさんぞうえ]
紙本著色
鎌倉時代(14世紀)
中国唐代の高僧・玄奘(げんじょう)の生涯を描く全12巻の絵巻で、奈良・興福寺の大乗院(だいじょういん)に伝来した。絵は当代一流の宮廷絵師であった高階隆兼(たかしなたかかね)が担当し、玄奘が経典をもとめて天竺(てんじく)(インド)を訪れる旅路を、色鮮やかに描き出している。

[しょうりょでんどうず]
絹本著色
中国 南宋~元(13~14世紀)
初公開
鍾離権(しょうりけん)が呂洞賓(りょどうひん)に仙術を伝える姿が描かれる。2人はいずれも、八仙に数えられる代表的な中国の仙人である。南宋時代末の宮廷画家の手になるとされ、着色・淡彩と水墨を併用し、細かい描写で2人の性格まで描き分ける。貴重な宋~元代絵画の新出作例として、大いに注目される。

[ろろそうりず]
紙本著色
室町時代(16世紀)
初公開
波濤(はとう)の間から水中を泳ぐ魚たちが見える。所々顔を出す岩石、水面に浮かぶ水草や水中に揺れる藻が、水墨と着色を巧みに併用しながら描かれる。室町時代の画壇の中心に居た狩野元信(かのうもとのぶ)の様式と見なされ、今回新たに確認された元信様式の藻鯉図として貴重。

[ゆうれい・どくろ・こいぬはくぞうすず]
(伝)長澤蘆雪筆
絹本墨画淡彩
江戸時代(18~19世紀)
箱に「妖怪絵」とある。1枚の絹に絵と表具までを描き、1幅に仕立てている。中央に女性の幽霊、左に謡曲「釣狐(つりぎつね)」から、狐が化けた僧侶である白蔵主、右に髑髏と仔犬を描く。どれも画面から抜け出るような表現が面白い。長澤蘆雪(ながさわろせつ)は円山応挙(まるやまおうきょ)の高弟のひとり。髑髏に愛らしい犬を添える感性にも注目。