特別陳列
特別陳列
お水取り
お水取りは東大寺の二月堂でおこなわれる仏教法会で、正式には修二会といいます。法会の目的は、仏の前で罪過を懺悔すること(悔過)。現在は3月1日から14日までおこなわれ、その間、心身を清めた僧(練行衆)が十一面観音の前で宝号を唱え、懺悔し、あわせて天下安穏などを祈願します。
お水取り(修二会)は、天平勝宝4年(752)に東大寺の実忠和尚が初めて十一面悔過を執行して以来、一度も絶えることがなく不退の行法として1271年にわたって勤め続けられてきました。そこには東大寺が歩んできた長い歴史が刻み込まれています。
本展は、毎年、東大寺でお水取りがおこなわれるこの時季にあわせて開催する恒例の企画です。実際に法会で用いられた法具や、歴史と伝統を伝える絵画、古文書、出土品などを展示し、お水取り(修二会)への理解が深まる一助となることを企図しています。

(奈良国立博物館)
会 期
令和5年(2023)2月4日(土)~3月19日(日)
会 場
奈良国立博物館 東新館
休館日
2月6日(月)・20日(月)・27日(月)
開館時間
午前9時30分~午後5時(毎週土曜日は午後8時まで)
※入館は閉館の30分前まで
- 東大寺二月堂お水取り(修二会)期間(3月1日~14日)中、3月12日(籠松明の日)は午後7時まで、土曜日以外は午後6時まで
- その他、臨時に開館時間を変更することがあります。
観覧料金
一般 | 大学生 |
---|---|
700円 | 350円 |
- 高校生以下および18歳未満の方、満70歳以上の方、障害者手帳またはミライロID(スマートフォン向け障害者手帳アプリ)をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料です。
- 高校生以下および18歳未満の方と一緒に観覧される方は、一般100円引き、大学生50円引きです(親子割引)。
- この観覧料金で、同時期開催の名品展「珠玉の仏教美術」・「珠玉の仏たち」、2月21日(火)より特集展示「新たに修理された文化財」をご覧になれます。
出陳品
展示件数:65件(うち重要文化財19件)
公開講座
令和5年(2023)2月4日(土)「参籠した時の醍醐味とは」
講師:狹川 普文 師(東大寺長老・東大寺総合文化センター総長)
- 時間:午後1時30分~3時(午後1時開場)
- 会場:奈良国立博物館 講堂
- 定員:90名(事前申込制)※抽選による座席指定制です。
- 聴講無料(展覧会観覧券等の提示は不要です)。
- 受付期間:12月26日(月)午前10時~1月9日(月)午後5時
- 申込方法:当館ホームページ「講座・催し物」→「公開講座」申込フォームより必要事項をご入力の上、お申し込みください(WEB申込のみとなります)。
- 当選者には1月20日(金)までに参加証をお送りします。当日必ずお持ちください。
※応募はお1人様1回でお願いいたします。
関連イベント
東大寺ミュージアムにおいても特集展示「二月堂修二会―受け継がれる誓い―」を開催しております。
あわせてご観覧いただくことで修二会についてより深くご理解いただけます。両館で異なる絵柄の絵はがきの配布もございますので、ぜひ足をお運びください。
会期:令和5(2023)年2月3日(金)~3月22日(水)
https://www.todaiji.or.jp/information/museum/
主催
奈良国立博物館、東大寺、NHK奈良放送局、仏教美術協会
チラシ
主な出陳品

[にがつどうほんぞんこうはい ずこう]
奈良時代(8世紀)
奈良・東大寺
修二会(しゅにえ)の本尊である二月堂十一面観音(大観音(おおがんのん))の光背の頭光です。江戸時代の寛文7年(1667)に二月堂の火災で、本尊の光背は破損して断片が残るだけになってしまいました。本品は、それらを復元的に配置したもので、表面には華麗な文様が施されています。

[じゅういちめんかんのんぞう]
鎌倉時代(13世紀)
奈良・東大寺
雲にのり、海上を飛来する十一面観音を描いた画像。後方の補陀落山(ふだらくせん)(観音の浄土)には、船で渡海してきた人々の様子や中腹の楼門(ろうもん)、山頂の楼閣(ろうかく)までが精緻に描き込まれています。観音の衣に施された緻密な文様や繊細な截金(きりかね)による衣文の描写も注目されます。二月堂修二会(しゅにえ)の本尊が、補陀落山から海を渡り飛来したという説話を想起させる図様です。

[にがつどうえんぎ]
室町時代 天文14年(1545)
奈良・東大寺
修二会(しゅにえ)の創始や二月堂観音の利益(りやく)にかかわる説話を表した絵巻です。図版は、本尊の十一面観音に供える香水(こうずい)が湧き出た場面です。画面下の岩から白黒2羽の鵜(う)が飛び出し、そこから香水が湧き出しました。現在の閼伽井屋(あかいや)はその場所で、この香水を汲むことから修二会は「お水取り」とも呼ばれています。

[さんこにょう(どうつかされい)]
鎌倉時代 弘安8年(1285)
奈良・東大寺
修二会(しゅにえ)の進行を監督する堂司(どうつかさ)の持ち物です。球体部分が鈴になっており、法会の時々に振り鳴らしました。歴代の堂司の名前を記した付箋(ふせん)が結び付けられています。柄(え)の先端は現状では真ん中部分が折れていますが、三叉(さんさ)に分かれた三鈷形を呈していました。

[こうずいしゃく]
上:鎌倉時代 建長5年(1253)
下:鎌倉時代 建長7年(1255)
奈良・東大寺
二月堂本尊(にがつどうほんぞん)に香水(こうずい)を供えた後、堂内の参詣者(さんけいしゃ)に香水を分ける際に柄杓(ひしゃく)として用いたもので、注口のついた形はお水取り独特のものです。壺(つぼ)の側面に線刻銘(せんこくめい)があり、制作年代と施入者(せにゅうしゃ)がわかります。